第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

委員会企画シンポジウム

委員会企画シンポジウム4(II-CSY04)
そうだ、学校に行こう!学校BLS教育と救急シミュレーション

2023年7月7日(金) 10:30 〜 12:00 第3会場 (G304)

座長:檜垣 高史(愛媛大学地域小児・周産期学講座), 座長:高橋 昌(新潟大学大学院医歯学総合研究科)

[II-CSY04-04] 山梨における児童生徒へ向けた心肺蘇生指導 ”Let's Save A Child in Yamanashi Project” について

小泉 敬一1,2, 勝又 庸行1,3, 須長 祐人1,4, 吉沢 雅史1,4, 河野 洋介1,4, 長谷部 洋平1,4, 小鹿 学1,4, 犬飼 岳史1,4, 星合 美奈子1,5 (1.Let's Save A Child in Yamanashi Project, 2.富士吉田市立病院 小児科, 3.山梨県立中央病院 新生児内科, 4.山梨大学医学部 小児科, 5.山梨県立中央病院 小児科)

キーワード:心肺蘇生, 児童生徒, 山梨

【背景】山梨では児童生徒の心臓突然死を防ぐため2015年にLet’s Save A Child in Yamanashi Projectを開始した。本活動は児童生徒とその家族へ心肺蘇生法(CPR)を教える市民講座「親子で学ぶ心肺蘇生講座」を開催してきた。【目的】この活動内容と意義、今後の展望を報告する。【方法】CPRに関心のある一般家族を対象にCPRトレーニングボックスを使用した講義(30分)とCPRマネキン・AEDトレーナーを使用した「胸骨圧迫方法」「AED使用法」「親子で共同して行う心肺蘇生」の実習(60分)を行った。BLS インストラクターが正しい手技で行えているかを確認した。第11回以降の講義はPUSHコースを取り入れた。【結果】2015年10月から2023年10月まで4市町で計12回市民講座を開催し、家族215組607名(児童生徒361名)が参加した。小学校低学年はCPR手順を理解し安全にAEDを使用することができた。高学年は効果的な胸骨圧迫を行うことができた。講習後のアンケートで児童生徒は目の前で人が倒れた時に声をかけることができる、CPRを行えると回答した。保護者は親子で一緒にCPRを学べたこと、AEDトレーナーを使えたことが印象に残ったと回答した。本講座を受講した児童生徒は第7回以降の講座でインストラクター補助として指導を行い始めることができた。【考察】親子で受講したことでCPRが家族の日常会話の一部になり始めた。このことはCPRの継続的な学習と技術の定着に繋がると考えられた。今後の課題として学年毎にCPRの学習目標を決めることやCPRの習得度を客観的に評価することが挙げられた。【結論】現代社会では児童生徒へのCPR教育の普及が急務である。親が子供と一緒にCPRを学ぶことは知識と技術の定着に効果的である。本活動方法は地域でのCPR普及に有効な方法の一つと考えられた。