[II-CSY04-05] 学校救急体制構築におけるチームによる連携シミュレーションの重要性ー愛媛県の取り組みー
キーワード:学校救急体制, 突然死, シミュレーション
【背景および目的】学校現場において子どもたちを突然死から守るためには、①学校心臓病検診の精度の向上と、②AEDの複数・有効設置を含めた学校救急体制整備、③経験事例・事故分析などの情報共有、そして④教育と医療と消防などと連携した事故を想定したシミュレーションが重要である。愛媛県における学校現場での取り組みについて報告する。【対象と方法】仮想事故現場を、運動場または特別教室などに設定して、教職員によってシミュレーションを施行し、課題や改善点などについて共有した。シミュレーションは養護教諭を中心に企画し施行し、学校によっては、児童・生徒も参加した。チェック項目を、認識、応援の依頼、119番通報(実際に通報訓練)、AEDの手配、胸骨圧迫、呼吸、AEDの操作、蘇生の確認、周辺の安全などについて評価した。緊急時の教職員の役割分担や、実際にチームで行うことによって初めて気が付くことが多くあることを改めて認識した。シミュレーションを施行した学校をモデルとして、研修会などで紹介し各学校への普及を推奨している。【新学習指導要領】中学校では(令和3年全面実施)、心肺蘇生法などを身に付けることができるよう指導する。胸骨圧迫、AED使用などの心肺蘇生法などについて「実習を通して」できるようにする。高等学校では(令和4年全面実施)、実習を通して理解しAEDなどを用いて心肺蘇生法ができるようにする。複数人数で対処することがより有効であること、胸骨圧迫を優先することについて触れると、解説されている。【考察および結語】学校救急体制の充実を目指すためには、胸骨圧迫とAEDを中心とする講習から、チームによる連携トレーニングに発展させることが重要である。学校での死亡事故は突然死が最も多く、学校で時間(秒)を争う出来事が起こることを伝え、小児循環器医は、専門家として蘇生教育に携わっていくことが重要である。