[II-CSY5-04] 経皮的酸素飽和度測定
Keywords:経皮的酸素飽和度, チアノーゼ性先天性心疾患, 未修復先天性心疾患
チアノーゼ性先天性心疾患は, 呼吸器, 循環器, 神経, 身体発育等に負の影響を及ぼし, 全身症状を呈する. 経皮的酸素飽和度測定は, 非侵襲的で安全な検査であり, 中枢性チアノーゼの有無を判断するにはもっとも適している.本邦の診療報酬制度では, 経皮的動脈血酸素飽和度測定 (D233) は「呼吸不全若しくは循環不全又は術後の患者であって, 酸素吸入若しくは突発性難聴に対する酸素療法を現に行っているもの又は酸素吸入若しくは突発性難聴に対する酸素療法を行う必要があるもの」あるいは「静脈麻酔, 硬膜外麻酔又は脊椎麻酔を実施中の患者に行った場合」のいずれかに該当する患者に対して行った場合にのみ算定可能である。「先天性心疾患並びに小児期心疾患の診断検査と薬物療法ガイドライン (2018年改訂版)」では, 乳幼児は成人に比し生理的に貧血傾向である状況, また黄疸等の存在下では, 低酸素血症があってもチアノーゼの判定が困難な場合があり, 経皮酸素飽和度測定が重要であると記載されている. 「2018 AHA/ACC Guideline for the Management of Adults With Congenital Heart Disease」では, 低酸素血症を安静時に測定した経皮的酸素飽和度が90%以下と定義している. シャントが残存する成人先天性心疾患患者の評価には, シャントの方向と大きさを決定するために, 安静時及び運動時の経皮的酸素飽和度測定が推奨されている (Class I, Level C-expert opinion).以上のように, 経皮的酸素飽和度測定は, 先天性心疾患患児の診療において有用であることが示されている. このため, 日本の診療報酬制度においても, 経皮的酸素飽和度測定を先天性心疾患患者に対して実施することが推奨されると考える.