[II-CSY6-02] 学校心臓検診の問題点と新たな課題
キーワード:学校心臓検診, 精度管理, デジタル心電図計
【背景】1994年に学校心臓検診が法律で義務化されてから、学校管理下の内因性突然死が減少し続け、特に心臓性突然死の減少が顕著であった。学校心臓検診は、見つかっていない心臓病の診断と突然死の予防に大きく貢献し、その役割は今後も継続される。【全国調査からあきらかになった心臓検診に関する問題点】2014年に文部科学省が日本学校保健会を通じて教育委員会、学校の双方に対して、「学校生活における健康に関する調査(全国調査)」を行い、以下の問題点が明らかになった。①心臓検診の精度管理に地域格差があること:心臓検診の判定委員会は57%で開催されておらず、精度管理(年度報告)を実施していない自治体が少なからずあった。一部では精検を保護者任せ(48%)とし、未受診者数も不明な状況であた。②1次検診判定結果に地域格差があること :要精検と判定される割合は1%~7%と、自治体によって大きな差がみられた。精度管理がされている自治体での精検率は1%~3%と低く、質の高い診断と管理を保ちながら、無駄なコストや受診のための学校欠席を最小限にしている。【今後の新たな課題】学校検診データのPHR化も見据えた準備としてデジタル心電図計の導入が望まれる。デジタル心電図計を使うことにより、データの軽量化(紙ベースからデータファイル)、心電図判読は判読医を集めることなく判読が可能となり、循環器を専門とする小児科医、内科医のいない地域の検診も施行可能となる。将来AIによるスクリーニング体制や、ビッグデータとして研究を進めることにより、心電図判読の精度と質を高める可能性がある。