[II-CSY7-01] 児童の権利に関する条約の基本
キーワード:児童の権利に関する条約, 子どもの権利, 権利の主体
子ども観は、社会が子どもをどのような存在としているのかによって変遷してきた。子どもの存在の考え方は、現在でもその国や世界の状態の影響を受ける。わが国における「子どもは権利を有した主体であり、1人の人間として尊重されるべき存在である」という子どものとらえ方は、「児童の権利に関する条約(通称:子どもの権利条約)」(1989年;国連採択、1994年;日本批准)を経て転換されてきた。「児童の権利に関する条約」は、子ども(18歳未満)が一人の人間として基本的人権を有し、行使する権利を保障するための国際条約である。子どもを保護される対象としてではなく、子どもが権利を持つ主体であることを明確に示している。条約は、4つの原則「生命・生存及び発達に対する権利」「子どもの最善の利益」「子どもの意見の尊重」「差別の禁止」を基本的な理念としている。また、条約が定める権利は、「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」の4つの柱からなっている。条約の特徴には、従来の子どもの人権に含まれてこなかった、意見表明権、表現の自由、思想・良心の自由、プライバシーや名誉の保護、適切な情報へのアクセス権が盛り込まれている。さらに、生活を豊かにしたり、成長発達を促すような遊びの保障や学習の保障なども権利としてあげられている。現在196に及ぶ締約国と地域は、子どもの最善の利益のために行動しなければならない。これは、子どもに関わる全てのことについて、子どもとって最もよいことを第一とする考え方であり、条約が定める権利を保障することは私たちの義務である。今回は「児童の権利に関する条約」の基本を確認しながら、子ども一人ひとりが尊重されること、一人の人間として権利を有していること、子ども固有の権利があることをあらためて考える機会としたい。