[II-CSY7-02] 小児看護の場における子どもの権利に関する指針
キーワード:小児看護, 子どもの権利, 倫理的課題
小児看護では、子どもの権利をどのように看護で実現されるのかが問われている。そこで本シンポジウムでは、日本小児看護学会で新生児や医療的ケアが必要な子どもへの看護場面を加えて2022年に改訂された「小児看護の日常的な臨床場面での倫理的課題に関する指針」の概略を説明する。この指針は、看護職者が倫理的感受性を高めることにとどまらず、気づいたことについて他者に説明し、行動化していく能力を向上させるために、倫理的な実践に至るプロセスに役立つものとして作成された。行動指針には、「成長発達の過程にある子どもの特性を理解した上で子どもの最善の利益や、子どもの尊厳が守られているかを問いながらケアを行う」などの看護師の基本姿勢と、子ども、家族、多職種それぞれに対する具体的な取り組みが示されている。また、日常的な臨床場面において、倫理の視点からの検討方法や、課題を整理するための具体的な方法が記載されており、私たち看護師が日々の何気ない場面を倫理の視点で検討し、実践する際に非常に有用なガイドラインとなっている。指針は小児看護のテキストでも紹介され、看護基礎教育においても学ぶ機会が多い指針である。日本小児看護学会のサイトからダウンロードが可能であり、すでに現場で用いている看護師も多くいると思われる。 先天性心疾患の治療の場では、意思を確認しにくい年齢の子どもが多いことや、手術や治療を親が子どもの代わりに決定すること、治療に緊急性があることから、子どもよりも家族の意向や医療者の価値観が優先されるといった倫理的な課題が生じる場面も少なくない。倫理的課題を解決するには、専門職間における相互理解と多職種の協働が不可欠である。倫理指針を学ぶことで、臨床現場での看護を再度振り返り、多職種で子どもの最善の利益を考える機会としたい。