[II-OR15-01] 心機能改善に伴いEXCORを離脱した拡張型心筋症の中期予後
キーワード:拡張型心筋症, 体外設置式補助人工心臓, EXCOR
【背景】心臓移植適応となる小児拡張型心筋症(DCM)の中で、内科的治療の限界を迎えた際にBridge to transplantationとしてEXCORを導入する症例がある。EXCOR装着のまま心移植に進む症例がある一方、待機期間中に心機能改善に伴ってEXCORからの離脱が可能な症例も存在する。【目的】心機能回復に伴ってEXCORを離脱できた小児DCM症例の中期的予後を明らかにすること。【方法】2013年から2021年までに当院でEXCORを導入した15歳未満のDCM31例のうち、心機能の著明な改善に伴いEXCORを離脱し、かつ1年以上経過している7例について後方視的に検討した。【結果】発症時月齢の中央値(interquartile range: IQR) は6 (4-10)ヵ月、EXCOR装着時月齢および体重は7 (4-16)ヵ月、7.0 (6.8-8.4)kgであった。装着前のLVEFは15 (9.8-22)%、LVDd 195.5 (158-225) % of Normalであった。離脱までの期間は5.5 (4.1-9.4)ヵ月であった。離脱からの観察期間は、53 (31-75)ヵ月、最終フォローアップ時のLVEFは63.5 (59.6-72.3)%、LVDd 101 (94.6-118.2) % of Normal、BNP 23.8 (18.0-37.2) pg/mL、最終の心臓カテーテル検査では、LVEDP 8 (6-12) mmHg、RVEDP 7 (5-8) mmHg、心係数4.4 (3.5-5.7) L/min/m2、心臓MRI検査で行ったT1-mapping解析では、ECV 31 (29-35)%、native-T1 1035 (1022-1076) msであった。観察期間終了時において、全例で通園および通学ができており、心不全症状を認めた症例はなかった。全例でβ遮断薬とACE阻害薬の内服が行われていた。【考察】心機能改善に伴いEXCORを離脱した小児DCM症例では、離脱後1~6年の経過において、BNPは40 pg/mL未満、EF 55%以上、LVDd 120 % of Normal未満で、心機能の再増悪を認めた症例はなかった。これらの症例の発症年齢はいずれも1歳未満の乳児であった。