[II-OR15-05] End of Life期にある重症心不全の子どもの在宅医療への移行支援に関する実践報告
キーワード:End of Life, 重症心不全の子ども, 在宅医療
【背景及び目的】在宅医療が推進されるなか、強心剤依存となった場合、未だ在宅への移行は困難となる。我々は強心剤依存となったEnd of Life期にある先天性心疾患患者において、地域との密接な連携により在宅医療への移行を経験した。今回、移行に際し調整が必要な事項と、移行を可能にした要因について検討する。【方法】家族に同意を得て診療録の後方視調査を行い、プロセスを整理し分析した。【結果及び考察】在宅医療への移行に調整を要する事項として、在宅での強心剤使用や退院の是非、費用面の問題、強心剤投与のための医療機器・物品の準備、看取りも含めた急変時や症状増悪時の対応が挙げられた。これらに対し多職種及び地域医療との協議を重ね、次のことを調整した。①薬剤は退院時の量を継続とし、強心剤は増量しない方針とした。通常は鎮痛剤を投与する機器であるPCAポンプを使用した管理方法を検討し、在宅の医師・看護師・薬剤師と話し合い決定した。②強心剤とPCAポンプは健康保険上適応がなく、薬剤・医療機器・物品の総額が在宅医療で算定可能な診療報酬を超えないかを確認した。また、標準治療を逸脱している状態であることを院内、在宅支援者と共有し、家族にも説明し理解と同意を得た。③病状の悪化や急変時は、当院が常時受け入れる体制を整えた。看取りの場所に関しては家族の意向を尊重する方針とし、緩和ケアに関しては症状に応じてその都度話し合った。④院内の倫理委員会で検討し承認が得られた上で退院となった。退院後も緊密な連携を保ち、在宅療養が継続できた。これらが在宅医療への移行を可能とした要因であったと考える。【おわりに】今回は関係各所の理解と協力を得てEnd of Life期の選択肢としての在宅医療へ移行することができたが、今後も検討を要する課題である。