第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

ASD

一般口演(II-OR17)
ASD

2023年7月7日(金) 14:50 〜 15:50 第6会場 (G301)

座長:矢崎 諭(榊原記念病院小児循環器科・成人先天性心疾患センター), 座長:西川 浩(JCHO中京病院小児循環器科)

[II-OR17-05] 長野県立こども病院における心房中隔欠損症デバイス閉鎖の治療戦略について

澁谷 悠馬, 瀧聞 浄宏, 淺野 聡, 伊藤 かおり, 大日方 春香, 沼田 隆佑, 赤澤 陽平, 武井 黄太 (長野県立こども病院 循環器小児科)

キーワード:GCA, ASD, 経皮的心房中隔欠損閉鎖術

【背景】2021年6月に本邦3番目の心房中隔欠損症(ASD)閉鎖デバイスとしてGORE Cardioform ASD Occluder(GCA)が承認され,全国に浸透し始めている.これまでのデバイスと比較しても柔らかく,erosionのリスクの少ないデバイスと言われている.そのため,当施設でも2022年6月からGCAを導入して以降,積極的にGCAを使用している.そこで当施設におけるGCA導入以降のASD閉鎖について,その戦略と成績について検討した.【現在の当院のASDデバイス閉鎖戦略】当施設では,経食道エコー3Dプローべが安全に入る15kg以上をASDデバイス閉鎖の対象とし,Aortic rimや上方のrimが乏しくとも後下方のrimがある場合にはGCAを選択する. GCAが留置困難な場合はOcclutech Figulla FlexⅡ(FSO)留置を試みる.Aortic rimが5mm程度あり,心房中隔長が短いまたはASDが小さい成人例,下方のrimが乏しい症例ではAmplatzer Septal Occluder(ASO)を留置する. 体格の小さな小児の場合は,可能なら成長するまで待つ.【現状】2022年4月1日から12月31日までの期間に16例にASDデバイス閉鎖を試みた.うち15/16例はGCAの留置を試み,1/16例は最初からASO留置を行なった.GCA留置を試みた12/15例はGCA留置に成功し,2/15例は結果的にFSOを留置した.1/15例はデバイス閉鎖が出来なかった.閉鎖に成功した12例はASDのバルーンサイジング 17.5[13.8-19.5]mm, Aortic rim 1.9[0-3.4]mmだった.留置までにかかった手技時間は28[22-32]分であり,前年度に行なったASO又はFSOによるASDデバイス閉鎖16例にかかった手技時間 9[7-11]分に比べて留置までに時間を必要とした.現時点でGCA留置後の合併症は確認されていない.【考察】GCAは従来のデバイスよりもtechnicalだが, 大動脈から前上方rimが乏しい場合も留置可能であり,留置できれば合併症が少ない可能性のあるデバイスと考えられる.