[II-OR18-01] 経胸壁心エコー図による下縁欠損を伴う心房中隔欠損に対する経皮的閉鎖術の治療成績予測
キーワード:心房中隔欠損, 下縁欠損, 心エコー図検査
【はじめに】下縁欠損を伴う二次孔型心房中隔欠損症 (ASD)は経皮的デバイス閉鎖術によるデバイス留置失敗や合併症を高頻度に伴う. 一方で, 下縁欠損症例のデバイス閉鎖成功例も報告されており, 自施設においても経験する. 本研究の目的は, 下縁欠損を伴う心房中隔欠損症例において, 経皮的デバイス閉鎖術の成績に関連する経胸壁心エコー図指標を検討することとした. 【方法】経皮的デバイス閉鎖術を施行したASD105例を対象とした. 経胸壁心エコー図法を用いて, ASD面積およびrim (下大静脈側 [IVC rim], 下位後壁側, 上位後壁側, 上大静脈側, 大動脈側, 三尖弁側)を計測した. IVC rim<5mmを下縁欠損と定義し, 下縁欠損群と非下縁欠損群の主要アウトカム(デバイス閉鎖不可)を評価した. また下縁欠損群における経皮的デバイス閉鎖術の成績に関与する形態的特徴を検討した. 【結果】ASD 105例中, 下縁欠損群は24例 (23%)であった. 主要アウトカムは下縁欠損群で5例(21%), 非下縁欠損群で1例 (1%)であった (odds ratio [OR]: 21.1, p<0.01). 下縁欠損群の内, 主要アウトカムを認めた症例はIVC rimが短く(0.68±1.05 vs 2.74±1.27 mm, p<0.01), ASD面積が大きかった(7.1±2.1 vs 3.6±1.8 cm2, p<0.01). IVC rim<2mmかつASD面積>5.4cm2の場合, デバイス閉鎖に成功した症例はいなかったが, IVC rim≧2mmまたはASD面積≦5.4cm2の場合, 90%の症例(21例中19例)がデバイス閉鎖に成功した (OR: 54.6, p=0.02). 【結語】下縁欠損を伴うASDにおいて, 経胸壁心エコー図法によるIVC rim<2mmかつASD面積>5.4cm2の形態的条件は経皮的デバイス閉鎖の治療成績予測に役立つ可能性が示唆された.