第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

ASD画像

一般口演(II-OR18)
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2023年7月7日(金) 16:00 〜 17:00 第6会場 (G301)

座長:加藤 温子(国立循環器病研究センター 小児循環器科), 座長:豊野 学朋(秋田大学小児科

[II-OR18-04] 多孔性ASDに対して、3D心臓エコー画像からの3DモデルによるGore Cardioform ASD occluderの有用性の検討

池川 健, 小野 晋, 細川 大地, 築野 一馬, 菅谷 憲太, 若宮 卓也, 金 基成, 柳 貞光, 上田 秀明 (神奈川県立こども医療センター 循環器内科)

キーワード:多孔性ASD, 3Dモデル, Gore Cardioform ASD occluder

【背景】Gore Cardioform ASD occluder(GCA)は柔軟性に富み、様々な形態の欠損孔に用いられる。多孔性ASDに1つのGCAで閉鎖に成功した報告が散見されるが、十分な知見は得られていない。そのような多孔性ASDに対して、GCAが有用か心臓3D モデルによるシミュレーションができる可能性がある。ASDの3Dエコー画像から3Dモデルを作成し、後方視的にシミュレーションを行い、GCAが多孔性ASDに有用であるかを検討した。【目的】多孔性ASDに対して、3Dモデルによるシミュレーションを用いて、GCAが有用か明らかにすること。【対象と方法】2019-2021年に当院で経カテーテルデバイス塞栓を試みた多孔性ASDの内、塞栓前の3Dエコー画像がある症例を対象とした。事前検討として、単孔性ASD 10症例について3Dプリントの出力の正確性を評価した。3Dエコー画像は経食道でEPIC7cを用いて取得されおり、QLabからDICOM形式で出力した。続いて3D Slicerを用いて、収縮末期の画像をSTLファイルに変換し、Form2を用い3Dモデルを作成した。3Dエコー画像のQLabでの計測と、得られた3Dモデルの実測を比較し、3Dモデルの正確性を評価した。その後、多孔性ASDの症例に対して、GCAを用いてシミュレーションを行った。【結果】単孔性ASD10例の事前検討では3Dエコー画像の計測値と、3Dモデルの実測値では誤差はほぼなかった。多孔性ASDの対象は3例。1例目は主孔13.8*8.8mm、副孔4.0*1.8mmであり、3Dモデルでは主孔にGCA32mmを留置し二か所とも覆えた。2例目は主孔12.0*8.8mm、副孔6.5*2.6mmであり、3Dモデルでは主孔にGCA32mmを留置し二か所とも覆えた。3例目は23.2*20.0mmの孔が線維性組織で3分割をされており、3DモデルではGCA37mmで全て覆えた。【結語】ASDの3Dエコー画像からの心臓3Dモデルは正確にプリントができ、多くの多孔性ASDの症例で一つのGCAで閉鎖できる可能性が示された。今後は実際に術前シミュレーションを行う臨床応用が望まれる。