[II-OR20-05] Pulmonary root translocsationを併用したRastelli手術
キーワード:pulmonary root translocation, TGA(Ⅲ), Rastelli
【背景】完全大血管転位症Ⅲ型の治療の1つとしてVSDを介したintraventricular reroutingによる心内修復と対外導管を用いた右室-肺動脈の流出路再建を併用したRastelli手術が選択される。この術式では心内修復時にrouting距離が長いと術後合併症として左室流出路狭窄の問題がある。Nikaidoh法やhalf-turned truncal switchなどの手術法は左室流出路を短くすることによってこの問題を回避できるが、冠動脈や上行大動脈の合併症のリスクがある。【目的】pulmonary root translocation;PRTを併用したRastelli手術によって術後左室流出路狭窄の合併症発症リスクを評価する。【方法】2011年から2016年に岡山大学病院で行われたTGA(Ⅲ)4例、cc TGA2例の計6例に対してPRTを併用したRastelli手術を行い評価を行った。経胸壁心エコーでIntact ventricular septum;IVSと大動脈弁の距離を術前術後で測定し、routingの距離と術後左室流出路狭窄の関係について調べた。【結果】患者の年齢の中央値は29ヶ月、体重の中央値は11.3kgだった。routing距離を左室拡張末期径に対する割合で評価したところ、最小では64%、最大では94%で、6例中4例が80%以上のrouting距離を有し術後左室流出路狭窄の発症リスクが高かったが、PRT後のIVSと大動脈弁の距離を測定したところ80%以上のrouting距離を有している症例はなく、現在まで左室流出路関連の手術が必要な症例はない。【考察】PRTを併用したRastelli手術の術後、肺動脈のスペースが縫縮され、intraventricular reroutingの距離を短縮できる効果が期待され、術後左室流出路狭窄リスクを回避でき有効だと考えられる。【結論】PRTを併用したRastelli手術は上行大動脈・冠動脈の合併症を回避できるだけでなく術後左室流出路狭窄の合併症発症リスクを減らせる。