[II-OR21-02] Norwood手術の大動脈弓形態が術後循環動態に与える影響
キーワード:HLHS, Norwood, 循環動態
【背景】Norwood手術(NW)において、拡大した新上行大動脈や残存する大動脈狭窄は術後の循環動態に影響を与えると考えられるが、詳細は不明である。【目的】NWにおける大動脈弓形態と術後循環動態の関係について検討する。【方法】2012年以降に行った左心低形成症候群(HLHS)に対するNWのうち、Glenn手術に到達した14例が対象。NWは、大動脈弓小弯側にグルタールアルデヒド処理した自己心膜を補填している。2018年以降はそれに加えinterdigitating suture及びChimney法を採用した大動脈弓再建が基本術式である。NW施行年齢は中央値30(24-269)日、体重は3.0(2.6-4.9)kgで、全例で右室-肺動脈導管を使用した。Glenn手術前のCTで新上行大動脈径(φaAo)、横行大動脈径(φTA)、大動脈狭部径(φiAo)、下行大動脈径(φdAo)を計測し、これらの標準偏差(archSD)を大動脈弓形態の検討項目とした。Glenn前の心臓カテーテル検査の心係数(CI)とarchSDの関係を検討した。【結果】Glenn前のφaAoは10.6(7.4-13.0)mm、φTAは9.4(7.4-12.5)mm、φiAoは5.3(3.0-6.8)mm、φdAoは6.5(5.0-10.1)mmであった。archSDは2.0(1.6-3.4) mmで、2018年以前の症例(n=5)と2018以降の症例(n=9)では、有意に2018年以降の症例で小さかった(3.2±0.6 vs 1.8±0.3 mm; P=0.003)。Glenn前のCIは3.4(2.5-4.9) L/min/m2で、archSDとCIは有意に負の相関を示した(R2=0.43、P=0.01)。【まとめ】NWにおいて、口径差の少ない大動脈弓再建が、術後のCI維持のために重要と考えられた。