[II-OR21-04] Norwood術後遠隔期の大動脈形態に基づいた大動脈再建方法の検討
キーワード：HLHS, 術後遠隔期, 大動脈拡大
【背景】Norwood手術後の良好な循環のためには，よりwideな大動脈流路を作成する必要がある．しかし肺動脈組織主体の新大動脈は遠隔期に拡大懸念があると同時に，上行大動脈下の肺血流路を十分確保できるかという問題もある．【目的】Norwood手術後の新大動脈の経時的変化を評価して，遠隔期の大動脈形態から大動脈再建方法妥当性の検討を行う．【方法】① 成人期に到達した13症例でNorwood術後遠隔期の大動脈径を評価する．② 術後大動脈の経時的変化を評価する．乳児期から10-15年程度の期間でCT検査比較可能な23症例（A群）を検討した．③ 当院で行っている肺動脈幹温存法10例（B群）の術式の妥当性について検討する．【結果】①年齢（才）：18.6±3.1（16-27）肺動脈弁輪径： (mm)(およびz score) 27.5±3.8，(z=4.3±1.3)，Valsalva径33.4±3.5，(z=3.0±0.9)，ST junction径28.8±4.5，(z=2.8±1.0)，上行大動脈径24.7±8.7，(z=2.2±1.3)であり全症例の全部位が正常値より大きく，かつ弁輪から末梢側の順でz値は漸減する形態であった．②全症例で乳児期から成長に伴いz値が減少した．観察期間を0-2才，3-10才，11才以上の３群にすると弁輪でのz scoreはそれぞれ5.2±1.7，5.5±1.5，6.5±1.5，Valsalvaではそれぞれ3.2±1.4，3.6±1.6，4.1±1.3であった．胸郭距離に対する大動脈径比率でも同様の結果であった．③肺動脈幹温存法を行ったB群はA群と比較して大動脈径に有意差はなかった．【考察】Norwood術後の大動脈は手術直後に心胸郭に占める割合が最も大きく，かつ全部位で正常より大きい結果であった．成長に伴い心胸郭に占める比率は低下していく傾向が全例に認められた．【結論】Norwood術後の大動脈は体格に対する明らかな拡大傾向はなく，Norwood術後の形態を保ったまま成長している傾向にあった．肺動脈幹温存法はさらに周径縫縮する余地があると考えられた．