[II-OR22-02] フォンタン術後の下大静脈血流分布と酸素化の経時的変化の検討
Keywords:肺血流, Fontan, シンチグラフィー
【背景】Total cavopulmonary connection手術(TCPC)において、下大静脈(IVC)血を左右肺にバランスよく流すことは重要だが、その詳細な評価は定まっていない。当院ではTCPC後の全例に肺血流シンチ(RI)施行しており、今回IVC血流分布評価を行った。【対象・方法】術後3年以上経過したTCPC症例を対象とし、2015年5月(現行RIシステム変更)~2019年11月にRI施行した41例を対象(IVC欠損症例/評価期間で在宅酸素使用症例/データ欠損症例は除外)。RIはテクネシウムの半量を下肢から、次に半量を上肢(両側上大静脈は1/4量ずつ左右上肢)から静注。下肢からの左右肺血流比(iRI)と上下肢合計の左右肺血流比を計測。iRIを上下肢合計の左右肺血流比で除して左右肺動脈における相対的なIVC血流のバランスを示す指標(m-iRI)と定義して比較検討(m-iRI>1の場合は逆数として0-1の範囲で設定, IVC血流の左右分布が全体の左右分布と等しい場合m-iRI 1.00)。フォローアップ(F/U)におけるSpO2を調査。【結果】RI施行時の年齢中央値9.6 (range 2.5-38.6)歳, iRI 0.61±0.21, m-iRI 0.56±0.23であった。RIからのF/U期間54.7(14.5-89.4)カ月において、RI施行時と最終F/UにおけるSpO2は94.8±3.3%→93.7±3.6%であり、-0.28±0.83%/yearの変化(ΔSpO2/y)であった。m-iRIとΔSpO2/yは相関係数0.34(p=0.034)であり、m-iRIが低いほどΔSpO2悪化傾向にあり、m-iRI<0.3は全例ΔSpO2悪化していた。m-iRI<0.3をU群(4例), 0.3≦をB群(37例)として比較すると、RI施行時のSpO2は97.5±1.3%, 94.5±3.4%、最終F/UにおけるSpO2は94.8±1.3%, 93.6±3.7%, ΔSpO2/yは-0.60±0.34%, -0.27±0.85%とU群のほうがΔSpO2/y悪化傾向にあった(p=0.086)。【考察】全体肺血流に対してIVC血流が不均衡(m-iRI<0.3)症例は術後の酸素化が良好であっても中期遠隔期で酸素化の悪化傾向があり注意深いF/Uが必要と考えられた。