一般口演（II-OR22）
機能的単心室/形態と予後

[II-OR22-05] 体血圧低値はFontan術後蛋白漏出性胃腸症のリスク因子になり得る

^○川崎 有希¹, 門屋 卓己¹, 瀬尾 尚史¹, 佐々木 赳¹, 中村 香絵¹, 藤野 光洋¹, 小澤 秀登², 鍵﨑 康治², 吉田 葉子³, 鈴木 嗣敏³, 江原 英治¹ (1.大阪市立総合医療センター 小児循環器内科, 2.大阪市立総合医療センター 小児心臓血管外科, 3.大阪市立総合医療センター 小児不整脈科)

キーワード：血行動態指標, 蛋白漏出性胃腸症, Fontan

【背景】Fontan型術後患者で、中心静脈圧高値(High CVP)が蛋白漏出性胃腸症(PLE)発症の一因であることは知られているが、High CVPを伴わない例においてもPLE発症を認める。【目的】Fontan術後比較的早期の心臓カテーテル検査において、high CVP以外にPLE発症を予測する血行動態因子があるかを明らかにする。【方法】対象は当院にて10歳未満で心臓カテーテル検査を行ったFontan術後患者。Fontan手術6歳以降施行例、原因不明突然死例、Fontan術後IVC閉塞例は除外。アウトカムをPLE発症、心臓カテーテル検査時点を0年とし、カプランマイヤー曲線とコックス回帰分析を用い、PLE発症に関連する指標を調べた。有意な指標は、低いCVP群(<14mmHg)で再解析を行った。【結果】対象は10歳未満の心臓カテーテル検査123例中、除外基準の16例を除く107例。男59例、右室型単心室33 例、心房内臓錯位24例。全例extracardiac TCPC。検査時年齢中央値3.1 (1.8-9.9)歳。経過観察期間11.4 (0.9-24.2)年、7例で9.5 (4.8-16.7)歳時にPLEを発症、5/10/15年イベントフリーは96.0/93.9/91.9%であった。患者背景ではfenestrated TCPC, ACE阻害剤内服がイベント発生に関連し、血行動態指標では体心室流出路狭窄(20mmHg≦)、平均体血圧(mSP)、Perfusion pressure (PP)、体心室駆出率低値、肺動脈楔入圧、CVP (HR 1.39, p<0.01)高値が関連していた。CVP<14mmHgの89例では、mSP (HR0.90, p=0.04)、PP(HR0.88, p=0.02)が関連していた。【考察】high CVPに加えて体血圧およびPP低値がPLE発症のリスク因子であった。腸管組織還流圧の慢性的な低下がPLEの発症に関与する可能性が示唆された。【結論】CVPに加え体血圧やPPに着目してFontan循環を評価する必要がある。