[II-OR22-06] 運動習慣がFontan循環に与える影響
キーワード:Fontan手術, 運動, 静脈圧
【背景】運動がFontan循環に与える影響については肯否意見が分かれる。【目的】Fontan術後患者に心肺運動負荷検査を行い、運動時最大酸素消費量・最大末梢静脈圧関係を比較し、運動習慣がFontan循環に与える影響について検討する。【方法】Fontan術後患者患者54例(運動習慣有り:23例、男:22例、平均年齢:13.5歳)に対し末梢静脈圧を測定しながら心肺運動負荷試験を行った。①運動時最大末梢静脈圧(peakVP)を目的変数、運動時最大酸素消費量(peakVO2)、運動習慣有りの2変数を説明変数とし重回帰分析を行った。②運動負荷中1分ごとに酸素消費量(VO2)と末梢静脈圧(VP)を測定し、運動中の循環効率を表す指標としてVO2/VPを設定した。運動中のVO2/VPの最大値をmaxVO2/VPとし、運動習慣の有無で分けた2群間で比較した。【結果】①PeakVO2(p<0.0001, 95%CI: -0.7~-0.2)、運動習慣有り(p=0.04, 95%CI: -4.6~-0.1)ともにpeakVPに有意に寄与した。運動習慣有りの場合の推定式はpeakVP=35.4-2.3-0.5*peakVO2となり、運動習慣無しの場合はpeakVP=35.4-0.5*peakVO2となり、運動習慣のあるFontan術後患者ではpeakVPが低いという結果になった。②maxVO2/VPは運動習慣の有無で有意差を認めた(有vs無:2±0.8 vs 1.4±0.4、p=0.0004)。Fontan術後患者では運動時の循環効率が良いという結果になった。【考察】本研究はpeakVO2と運動習慣有りの2変数を、同列に説明変数として扱った多変量解析である。そのため、peakVO2の良し悪しに係わらず、運動習慣が独立して運動中の静脈圧上昇の抑制に寄与したと言うことができる。Fontan術後患者において、運動習慣が日常生活中の静脈圧上昇を抑え、臓器うっ血を抑えることで長期予後を改善させる可能性が示唆された。