[II-OR23-01] 遠隔中期の身体活動から見る成人Fontan術後患者の進学・就労状況
キーワード:心肺運動負荷試験, 単心室, 予後
【目的】Fontan術後患者の進学・就労状況には身体活動の程度や神経発達など多様な因子が影響する。遠隔中期(術後5年後)の身体活動状況が、成人期の進学・就労状況に影響するかを明らかにする。【方法】Fontan術後5年後に心臓カテーテル検査と心肺運動負荷試験を実施し、18歳以上に到達した症例を対象とした。心臓カテーテル検査により心係数と中心静脈圧、心肺運動負荷試験により最大酸素消費量(PeakVO2)、最大酸素脈および心拍予備能を測定した。それらの患者を前方視的に観察し、成人期における進学・就労状況との関連を検討した。【結果】対象51例(男23例)において心肺運動負荷試験および心臓カテーテル検査を8.9(7.9─9.9)歳時に実施した。心係数4.1(3.5─4.6)L/min/m2、中心静脈圧10(8-12)mmHg、PeakVO2 31.0(25.7─35.8)ml/kg/min、最大酸素脈5.0(4.1─5.7) ml/kg/min、心拍予備能52(31─62)bpmであった。観察期間15.9(10.0─20.9)年、最終観察時年齢24.3(21.9─26.4)歳において、NYHAI-II度47例、III-IV度4例であった。最終学歴に関しては、大学・専門学校卒31例、高卒20例であった。最終学歴(大学・専門学校卒vs高卒)に関しては心係数、中心静脈圧、PeakVO2、最大酸素脈 、心拍予備能に有意差はなかった。就労状況(N=42)に関しては、フルタイムワーク36例、パートタイムワーク3例、未就労3例であった。未就労で心拍予備能が有意に低値[52(32─62) vs 57(54─62) vs 15(8─21), P=0.02]で、中心静脈圧が有意に高値[14(9─12) vs 9(7─10) vs16(16─16), P=0.03]であった。心係数、PeakVO2、最大酸素脈には有意差はなかった。【結論】遠隔中期の運動耐容能は進学状況に関連はなかったが就労状況には影響し、心拍予備能低値・中心静脈圧高値であると就労困難となる可能性が示唆された。