[II-OR23-02] フォンタン術後肝障害の進行とMELD-XIスコアの推移に関する観察研究
キーワード:Fontan Associated Liver Disease, MELD-XI score, 術後遠隔期
【背景】Fontan associated liver disease: FALDの進行はFontan術後患者に対する心移植を含む外科治療成績に影響を与えることが明らかになっており、FALD進行度の指標としてMELD-XIスコア: 11.76*log(Cre)+5.11*log(T-Bil)+9.44を用いた報告が増加している。同スコアは簡便に測定が可能であるため、繰り返し評価をしやすい一方で、エコーや生検による従来の方法による進行度評価との相関に関しては十分な検討はなされていない。今回我々は、当施設でのFontan術後患者のMELD-XIスコアの推移および実際のFALD進行度との関連について検討した。【対象・方法】1980年1月から2022年12月までに当施設でFontan手術を行った95例のうち、継続的にフォローアップをされている69名のMELD-XIスコアの経時的推移を検討し、周術期因子やFALDステージとスコアの関連性について解析を行った。【結果】全観察期間(中央値 (四分位範囲))は20.8(10.7: 28.7)年で、術式はTCPCが47例であった。全コホートのFontan術前MELD-XIスコアは-4.2(-10.5: 2.2)で、死亡は7例、肝硬変に至ったものは15例であった。肝硬変診断時のMELD-XIスコアは8.5(7.5 : 11.4)であり、ハイスコアの基準とされる11.5を超えていた症例は15例中4例であった。術前MELD-XIスコア、下大静脈圧、術式、心室形態、fenestrationの有無は術後MELD-XIスコア上昇率に有意な影響を与えず、各肝障害ステージ間においても上昇率に有意な差は認めなかった。Fontan手術時年齢で調整した回帰式はMELD-XI = -4.4[95%信頼区間-6.0: -2.6] + 0.23[0.11: 0.34]*(手術時年齢) + 0.53[0.41: 0.64]*(術後年数)であった。【まとめ】臨床的なFALDの進行と相関してMELD-XIスコアが上昇する傾向が得られたが、代表的なFontan周術期因子および術後FALDステージはスコア上昇率に寄与せず、ハイリスクとされるスコアに進行するまでに肝硬変に至る症例が多いことが示唆された。