[II-OR23-05] フォンタン循環での心骨連関を考える 思春期前期における骨代謝の重要性
キーワード:フォンタン循環, 骨密度, 心骨連関
【背景】心臓と骨の連関について成人領域では近年多くの報告がなされている。また、骨量増加のスパートがみられる思春期前期に多くの骨量を獲得することが、生涯にわたり健全な骨密度を保つ上で重要とされている。【目的】思春期前期での骨代謝に対するフォンタン循環の及ぼす影響について検討する。【方法】2019年7月から2023年1月にDual X-ray Absorptiometryを用いて全身の骨密度を測定した8-14歳のフォンタン患者24例を対象とした後方視的単施設観察研究。【結果】全身骨塩量は1387.5±306.3g、頭部を除いた骨密度は0.699±0.102g/cm2、(84.1±11.1%N、Z-score -2.1±1.4)と同年齢の健常児に比べて低く、男女差はなかった(男15:女9、0.704±0.097:0.689±0.113g/cm2、p=0.19)。血清25ヒドロキシビタミンD(25-OH-D)低値例(<15ng/mL)が8例(33%)、その内でPTHインタクト高値例(>65pg/mL)が4例(17%)認めた。単変量解析では、年齢(p=0.04)、握力(p=0.02)、四肢骨格筋量指数(p=0.01)、低25-OH-D+高PTH例(p=0.003)、血清Ca値(p<0.001)、PLE発症(p<0.001)が骨密度との相関を認めた。多変量解析では、血清Ca値(p=0.04)、低25-OH-D+高PTH例(p=0.03)、PLE発症(p=0.003)が骨密度に寄与する独立因子だった。【考察】フォンタン患者の骨密度低下の原因として、ビタミンDの貯留や活性を司る肝臓、腎臓の機能低下、抗重力運動の不足、微量栄養素の吸収不全などが示唆された。【結語】思春期前期のフォンタン患者の骨密度は低く、骨生成する上で不利となる様々な因子を内包したフォンタン循環の問題が浮き彫りとなった。