[II-OR24-02] ファロー四徴類縁疾患術後のfragmented QRSは年齢に関係なく右室拡大を反映する
Keywords:ファロー四徴, fragmented QRS, 右室拡大
【背景】ファロー四徴類縁疾患(ファロー四徴、両大血管右室起始)の術後遠隔期は、右室流出路瘢痕や右心不全が原因で心室頻拍を発症し、突然死をきたすことがある。突然死のリスク因子としてQRS幅は重要であるが、fragmented QRS(fQRS)についても注目されてきている。しかし、若年者でのfQRSの検出状況に関する報告は少ない。【目的】ファロー四徴類縁疾患術後患者のfragmented QRSの検出状況と血行動態との関連について評価する【方法】2012年1月から2022年12月に当院で心臓MRI検査を施行した術後3年以降の患者42名(4-41歳)を対象にした。fQRSは既報のごとく、右脚ブロックの場合はQRSに3つ以上のノッチがあるもの、QRS<120msecの場合は2つ目のR波またはS波にノッチがあるものと定義し、12誘導での検出数を求めた。【結果・考察】fQRS検出数は0個が7名、1-4個が21名、5個以上が14名であった。fQRSの検出数と年齢、心内修復術後年数、肺動脈狭窄には有意差は認めなかった。平均QRS幅は、fQRS 0個で104msec、1-4個で138msec、5個以上で176msecと、fQRSが多いほどQRS幅は延長していた。平均RVEDVIは、fQRS 0個で78mL/m2、1-4個で110 mL/m2、5個以上で135 mL/m2と、fQRSが多いほどRVEDVIは大きくなり、これは18歳未満のみの検討でも同様の傾向を示した。心室頻拍や突然死の頻度は、右室圧負荷よりも三尖弁逆流や肺動脈弁逆流がある症例で多いことが報告されており、RVEDVIが大きいほどfQRSが増えるという今回の結果と類似していた。【結論】fQRSは年齢に依存せず、RVEDVIが大きくなるほど検出頻度が増加する。fQRSが検出された若年者では、右室拡大を念頭に置くとともに、不整脈発症にも注意が必要である。