[II-OR24-04] PAIVS両心室修復におけるRV overhaulの功罪
Keywords:PAIVS, RV overhaul, 右室機能
【背景と目的】PAIVSの治療は「成立」するならば両心室修復(BVR)が優先とされる.逆流の残存や高いCVPに関わらず短期的outputを得ることを「成立」と称するが,「成立」は必ずしも長期予後と等価ではない.右室肥厚心筋束切除により内腔を拡大するRV overhaul(RVoh)手術は循環を「成立」せしめるとされるが,長期予後は不明でむしろ右室機能の荒廃が懸念される.RVohが術後右室機能に及ぼす影響を調べた.【方法】当院で介入した全PAIVS102例のうちBVR施行16例を対象とした.RVoh施行10例(O群)と未施行6例(X群)に分け,カテ,CMR,エコーでの右心機能,術後の予後を比較検討した.【結果】対象は15±12歳で死亡・1.5VRへの takedownはない.再手術3例中,2例がX群(PR+TR1,TR1),1例がO群(PR)であった.O群の1例に有意な不整脈(PVC)を認めた.検査時年齢および術後期間に群間差はない.術前CVPはX群で有意に高く(P=0.018),RVEDPも高い傾向を示した(P=0.09)(sysRVpは群間差なし).術前RVEDVはO群で有意に小さかった(P=0.02).術後のCVPに群間差はなく(P=0.21)sysRVpはO群で有意に低かった(P=0.005).RVEDP,RVEDVは群間差を認めなかった.TRはO群で有意に多かった(P=0.024).エコーでの右室拡張障害の指標である拡張末期肺動脈順行性血流はO群に多い傾向であった(P=0.076).根治術前後の変化では,O群でRVEF,sysRVpは低下し,RVEDVが増加した(共にP<0.001).CVPは上昇傾向(P=0.066)で RVEF は低下傾向で,PRは増大した(P=0.057/0.034)RVEDPに変化は認めなかった.X群ではCVP,sysRVp,RVEDPが低下し(各々P=0.047/<0.001/0.031),RVEDVは増加した(P=0.025).RVEF,PR,TRに変化は認めなかった.【考察】生来の右室ポテンシャルに群間差はありうるが,O群は治療後,右室拡大に伴いRVEFの低下やCVPの上昇を来しており,「成立」しても予後に直結する長期的な右室機能維持に重大な懸念を有していると考えられた.