[II-OR24-06] 当科で維持血液透析を導入した先天性心疾患症例の経過と予後
Keywords:血液透析, 末期腎不全, 先天性心疾患
【背景】慢性透析患者は増加の一途をたどっており、2020年の日本透析学会の報告では平均透析歴は7.37年であった。慢性心不全患者は腎機能低下を伴うことが多く、水分管理がより困難となった結果、透析導入となりうるが、先天性心疾患 (CHD)患者で末期腎不全に至り維持血液透析を施行した報告は少ない。【目的】CHD患者の維持血液透析症例の予後を調査する。【方法】対象は2010年以降、当科で維持血液透析を施行したCHD 11例。血液透析のバスキュラーアクセス、問題点、転帰について後方視的に検討した。【結果】維持血液透析導入時の年齢は中央値51歳 [19-69]。CHDの内訳はファロー四徴症6例、大動脈縮窄複合1例、単心室4例。合併症は、心房頻拍/心房細動10例、高尿酸血症10例、糖尿病4例、高血圧3例。心内修復術、姑息術後から透析開始までの期間は中央値27.6年[15.3-48.2]。初回心不全入院から透析導入までの期間は中央値8.6年 [0.1-14]。透析導入直前の心機収縮能は、9例は50%未満、うち3例は40%未満であった。透析導入の契機となった原因は、慢性心不全に伴う腎前性腎不全7例、感染が4例。透析導入時の腎不全の原因は、慢性心不全に伴う腎前性腎不全であるが、4例は感染を契機に導入された。併存腎疾患はチアノーゼ腎症3例、腎硬化症、膜性腎症各1例。血液透析期間は中央値 19.5か月[3.9 – 105.3]。バスキュラーアクセスは、動脈表在化7例、長期留置カテーテル3例、内シャント1例。透析における問題点は、低血圧10例、出血4例、バスキュラーアクセストラブル4例。透析後も1例を除き心不全入院歴あり。死亡は9例で主な死因は心不全3例、感染4例、出血2例であった。【結論】CHD患者における透析療法の導入は、心不全入院を減少させる可能性はあるが、生命予後の改善には限界がある。