第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

術後遠隔期・合併症・発達

一般口演(II-OR24)
術後遠隔期・合併症・発達

2023年7月7日(金) 17:00 〜 18:10 第7会場 (G314+315)

座長:宮本 隆司(社会福祉法人 児玉経堂病院), 座長:三谷 義英(三重大学医学部附属病院周産母子センター)

[II-OR24-07] 上大静脈還流型の部分肺静脈還流異常症に対する術式別の術後成績の比較

小倉 健, 岩田 祐輔, 渕上 泰, 桑原 直樹, 山本 哲也, 寺澤 厚志, 田中 秀門, 桑原 尚志 (岐阜県総合医療センター 小児心臓外科 小児循環器内科)

キーワード:partial anomalous pulmonary venous return, intra-atrial rerouting, pulmonary vein occlusion

【背景】部分肺静脈還流異常症(PAPVC)は様々な術式が工夫されているが術後合併症としては上室性不整脈,上大静脈(SVC)狭窄、肺静脈閉塞(PVO)が問題となる.【目的】当科におけるSVC還流型PAPVCに対する外科治療成績を検討する.【方法】1997年8月から2022年9月まで当施設でPAPVCに対して外科治療を施行した全30例のちSVC還流型19例(右房還流との混合型3例を含む,TAPVC混合型や他複雑心奇形合併例は除いた)について検討した.年齢、体重の中央値はそれぞれ6歳(1ヶ月-16歳)、17.0 kg(4.9 kg-39.1 kg)であった.18例でASDの合併を認め,位置は二次中隔型が8例,SVC型が8例,一次中隔型が2例,大きさは,Qp/Qsの中央値は2.0 (1.4-4.6)であった.術式はDouble Decker(DB)法8例,One patch(OP)法7例,Williams法2例,右房壁flap法2例,Warden法1例であった.【結果】全例生存し外来通院中である.PVOを2例に認め,いずれも二次中隔型に対するOP法で初期の症例で再手術となった.SVC狭窄は2例あり,Williams法とDB法に認め,SVC-RAの圧較差はそれぞれ14.7mmHgと15.0mmHgであり,PTAを術後5か月後と3か月後に施行した.不整脈は特に認めず,ペースメーカー移植を必要とした症例はなかった.【考察】二次中隔型ASDを合併した症例でOP法を行った2例はいずれもPVOを来しており,当科では現在DB法を第一選択としている.しかし症例によって術式の工夫が必要である.Double Decker法は術後合併症が少ないと報告されているが,Qp/Qsの小さい症例では心耳の大きさが足りず補填物を使うことも考慮すべきと考えられた.【結論】当科のPAPVC外科治療成績はおおむね良好であった.