[II-P05-1-01] 体外式補助人工心臓を装着している幼児への心理・社会性の発達を促す支援
キーワード:体外式補助人工心臓, 幼児 , 社会性の発達
【背景・目的】我が国の心臓移植待機中の子どもには体外式補助人工心臓(以下、EXCOR)装着のもとで長期間生活している場合もある。幼児期のEXCOR装着は環境との相互作用が制限されるため成長発達に影響を及ぼす。今回は心理面、社会性の発達促進への支援を振り返り看護の在り方を考察する。【対象・看護の方向性】Aちゃん(2歳女児)。左室緻密化障害を発症し生後3か月からEXCOR装着し心臓移植待機中である。ADLは全介助。1歳3か月時点の発達評価は言語・社会性は10か月程度、運動機能は評価不能であった。空間や活動、環境との相互作用に制限があり、発達課題をクリアしていくことは容易ではない。EXCOR装着下の心機能と身体状態を維持しながら、生活の拡大と共に心理社会性の発達促進の支援が必要である。以上より環境調整、生活リズムの調整、生活環境の拡大、遊びの拡大、家族との関係構築、多職種連携を看護の方向性とした。【実施・結果】①生活活動域の拡大:バギーを用いた病棟内散歩を実施。個別のベルトを作成しチューブ抜去予防に留意し散歩前の姿勢を整えた。散歩中は本人の様子やチューブ、メンブレンの動き、バッテリー駆動時間に考慮した。導入時は啼泣もあったが、定期的な散歩の実施により周囲への興味関心が広がった。②遊びの発達:保育士と連携し、循環動態の安定を図りつつ最大限に遊びの発達促進を支援した。時間や状況は限定せず、ケアの中に組み込むことにも留意した。遊びは本人の好きな歌や手遊びを中心とし、身体状態に応じて自発性や創造性の促進に働きかけ、両親の参画のもとで進めた。【考察】EXCOR装着による長期入院では、身体状態の維持を基盤にしながら、生活の拡大と共に成長発達促進への援助方法を常時工夫する必要がある。その子どもの最善を考慮して可能な限り成長発達を遂げられるよう、家族とのパートナーシップと多職種連携のもとで個別性の高い支援内容の実践が重要となる。