[II-P05-2-05] 肺静脈還流異常を伴う左心低形成症候群の治療成績
キーワード:左心低形成症候群, 肺静脈還流異常, PVO
【背景】肺静脈還流異常を伴う左心低形成症候群(HLHS)は稀である。当院における肺静脈還流異常を伴うHLHS症例について外科介入を含めた治療成績をまとめ報告する。【症例】症例1:HLHS(MA, AA), Intact Atrial Septum, PAPVR, PVO。在胎39週5日に3492gで出生。出生後より著明なチアノーゼ、呼吸障害を認め人工呼吸管理開始。高度の肺うっ血のため治療介入が困難。日齢12に永眠。症例2:HLHS(MA,AA), Cor triatriatum, PVO。在胎38週4日に3028gで出生。日齢5にBil.PA banding, ASD enlargement, PVO releaseを施行。PVOは解除され、2ヶ月でNorwood procedure施行、8ヶ月でBCPS施行、2歳でTCPC施行。現在9歳、Fontan循環を維持。症例3:HLHS(MA,AA), TAPVRⅡa(restrictive PFO, LA-CS communication), PVO胎児診断あり。在胎37週3日に帝王切開にて2693gで出生。日齢12にBil.PA banding、1ヶ月でNorwood procedure, ASD creation, RV-PA conduit施行、1歳でBCPS施行、1歳11ヶ月でfenestrated TCPC施行。現在5歳、Fontan循環を維持。症例4:HLHS(MA,AA), Cor triatriatum, PVO胎児診断あり。在胎38週1日に帝王切開にて2698gで出生。日齢7にBil.PA banding、肺うっ血を認めPVO進行と判断、日齢27にstatic BAS施行。PVOは軽減し、体重増加を得られるようになった。現在2ヶ月、Norwood procedure待機中.【考察】restrictive ASDに対して治療介入により心房間交通を確保できたHLHS症例は、心房間交通が保たれていた症例と比較し、生存率、Glenn到達率、Glenn後のカテーテル結果は同等と報告されている。血行動態的に類似していると思われるPVOを伴う肺静脈還流異常を合併したHLHS症例においても、PVO releaseを行うことが出来れば治療成績は悪くないことが示唆された。【結語】肺静脈還流異常とPVOを伴うHLHSにおいても、閉塞性病変が進行する前にPVO releaseを行うことで、TCPCに到達することは可能であった。