[II-P05-3-02] ACVRL1遺伝子とSOX17遺伝子の変異によるNO反応性肺動脈性肺高血圧の1例
キーワード:特発性肺動脈性肺高血圧症, ACVRL1, SOX17
【症例】学校検診異常指摘なし。10歳時に労作時息切れが出現し、Ⅱ音肺動脈成分亢進と心拡大から特発性肺動脈性肺高血圧症(IPAH)と診断した。心臓カテーテル検査では肺動脈圧53/26(平均36)mmHg、心係数3.63L/分/m2、肺血管抵抗係数8.27Wood単位・m2であった。NO負荷急性肺血管反応試験(AVT)により肺動脈圧28/10(平均18)mmHgとなったため、血管拡張薬の多剤併用療法(タダラフィル、セレキシパグ、マシテンタン)により加療を開始した。高校生の時に失神を起こし、その際心エコーによる推定右室圧約50mmHgであった。20歳時の心臓カテーテル検査は肺動脈圧86/47(55)mmHg、心係数6.87L/分/m2、肺血管抵抗係数7.43Wood単位・m2であり、AVTにより肺動脈圧41/18(平均27)mmHgとなった。覚醒下であり病状進行は許容範囲としタダラフィルを増量した(20→30mg)。遺伝子検査ではACVRL1遺伝子ミスセンス変異(c.652C>T)とSOX17遺伝子ミスセンス変異(c.807_808delinsAT)を認めた。【考察】ACVRL1遺伝子はTGF-β受容体の1つであるALK-1をコードしIPAHの原因とされるが本変異の病原性は低いと報告されている。一方でSOX17遺伝子はBMPR2-SOX17-prostacylcine経路の中核分子をコードし肺血管平滑筋細胞増殖に深く関わる。SOX17変異IPAHは薬剤抵抗性が高いと報告されているが、本変異病原性は不明で、NO反応性IPAHの臨床像を辿った。