The 59th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスター発表

肺循環・肺高血圧

ポスター発表(II-P05-3)
肺循環・肺高血圧1

Fri. Jul 7, 2023 9:50 AM - 10:40 AM ポスター会場 (ポスター展示会場)

座長:高月 晋一(東邦大学医療センター大森病院小児科)

[II-P05-3-04] TBX4異常を伴う肺高血圧症に対するセレキシパグの有効性

山下 尚人1,2, 横山 亮平1, 井福 俊允1, 髙村 一成2, 原田 雅子2 (1.宮崎県立宮崎病院 小児科, 2.宮崎大学医学部 発達泌尿生殖医学講座 小児科学分野)

Keywords:肺高血圧症, 間質性肺疾患, TBX4

【背景】肺高血圧(PH)の原因遺伝子としてTBX4が報告されているが、本邦での報告は少ない。間質性肺疾患、進行性のPHを呈した幼児例にセレキシパグが一定の効果を示したので報告する。【症例】2歳女児。出生後の緊張性気胸、新生児遷延性肺高血圧に対し胸腔ドレナージ・人工呼吸器・NO吸入で改善し抜管した。その後も低酸素血症が持続し、KL-6上昇や胸部CT所見から間質性肺疾患と診断した。ステロイドで改善に乏しくハイドロキシクロロキンを導入した。心エコー図でPDA以外の心内奇形はなく、PHを疑い日齢70に心カテ①を施行した。平均肺動脈圧(mPAP、mmHg)=28、肺血管抵抗(RpI、wood unit・m2)=5.5、左房圧=1mmHgであり、1群か3群のPHと判断し、シルデナフィル・在宅酸素療法を導入した。マイクロアレイ染色体検査で17q23.1-23.2の欠失を認め、TBX4の欠失が判明した。低酸素血症やCT所見の増悪はないが月齢8の心カテ②でmPAP=57、RpI=4.5 であり、1群のPH進行と考え、ボセンタンを追加した。1歳時の心カテ③ではmPAP=70、RpI=21とさらに増悪した。感染リスクやQOLの観点からエポプロステノールではなく、セレキシパグを導入した。導入5か月後の心カテ④でmPAP=49、RpI=8.3と改善がみられたが、2歳時の心カテ⑤でmPAP=55、RpI=9.9と再増悪を認めた。【考察】急速に進行するPAHを呈したTBX4異常例であり、肺血管拡張薬を順次導入した。セレキシパグが一時的に一定の効果を示したが、その後再増悪した。TBX4は肺血管内皮細胞や平滑筋細胞への分化に関与するため肺発育障害を伴っている可能性があり、PHは重症化しやすい可能性がある。肺移植が考慮されるが、低年齢では困難なことも多く、薬物治療の位置付けは大きい。【結論】セレキシパグはTBX4異常を伴うPHに一定の効果を示したことから症例によっては選択し得ると考えられる。しかし効果は限定的であったため、エポプロステノールや肺移植も常に検討する必要がある。