[II-P05-3-05] エポプロステノール持続静注療法からセレキシパグへの切り替えを行った乳幼児肺高血圧患者の2例
キーワード:肺高血圧, エポプロステノロール, セレキシパグ
【背景】肺高血圧症患者に対するエポプロステノール持続静注療法(Epo)は、長期のカテーテル留置を要し、乳幼児患者においては感染や自己抜去などのリスクが高い。成人においては、Epoを内服プロスタサイクリン製剤であるセレキシパグへ切り替えを行いQOLの改善が得られた報告が散見されるものの、小児患者での報告は少ない。【症例1】肝肺症候群および門脈圧亢進症に伴う肺動脈性肺高血圧症の3歳女児。肝移植を前提にボセンタン・シルディナフィルを開始したが平均肺動脈圧は高値であり、Epoが導入された。3剤併用下に肝移植前の平均肺動脈圧は25mmHgであり、肝移植後に在宅に向けてセレキシパグへの切り替えを行った。切り替え開始時のEpoは16.6 ng/kg/min、セレキシパグの開始量は0.008mg/kgとし、5日ごとにセレキシパグを同量ずつ漸増、Epoを2ng/kg/minずつ漸減した。36日目にセレキシパグ 0.064mg/kgまで増量し39日目にEpoを終了した。切り替え終了後の平均肺動脈圧は27mmHgであった。【症例2】21trisomy・ASD・CLDⅣ型に伴う肺高血圧症の8か月女児。生後2か月時に心臓カテーテル検査を施行したところ、平均肺動脈圧45mmHgであり、シルディナフィル・ボセンタンの導入を行った。生後5か月時にPH crisisとなり、Epoが導入された。長期のカテーテル維持に伴う合併症リスクを考慮し、Epo 9.9ng/kg/minをセレキシパグへ切り替えを行った。セレキシパグの開始量は0.008mg/kgとし、7日間ごとに同量ずつ増量した。Epoは0.5~1ng/kg/minずつ毎日減量し、11日目に終了とした。セレキシパグ0.04mg/kgまで増量した際の平均肺動脈圧は38mmHgであった。【考察】セレキシパグへの切り替え時には血行動態の変化に伴う右心不全や頻脈・紅潮・頭痛・嘔吐などの副反応が懸念されるが、5~7日ごとに段階的にセレキシパグとEpoを切り替えることにより、中止を要する血行動態の変化や症状は認めず、安全な切り替えが可能であった。