[II-P05-3-06] 当院における小児肺高血圧症に対するSelexipag使用例の治療効果について
キーワード:Selexipag, 肺高血圧, 小児
【背景】肺高血圧(PH)特異的治療薬で経口投与可能なIP受容体選択的作動薬であるSelexipagは小児の適応はなく、使用経験も少ないが、近年その使用報告は散見されてきている。【目的】当科での小児のPH症例における、Selexipagの有効性、副作用と投与量について考察する。【対象】当科でSelexipagを投与した7例(PAH with congenital heart disease 3例、PAH with complex congenital heart disease 4例)を対象とした。【方法】Selexipagの投与量、効果、血行動態の変化、副作用等について後方視的に調べた。【結果】Selexipag開始時年齢は4~17歳、男女比は2:5。当科でのSelexipag開始目的はPAHの治療強化であった。7例中1例はベラプロストから移行例で、6例は他2系統の肺血管拡張経口薬に新たにAdd-onされた。投与期間は24~61か月、初期投与量は0.003~0.01mg/kg/day、最終投与量は現段階で0.01~0.1mg/kg/dayであった。効果については、2/7例で治療効果を認め、症状が増悪した症例は認めなかった。副作用については消化器症状を4/7例で認め、頭痛を1/7例で認めたが、そのうち2例は症状を見ながら増量可能で、2例は増量困難であった。【考察】Selexipagは小児PHに対して著効する症例があるが、全体とし治療効果を判断するのは困難である。一方で成人に比較し、selexipagに対する小児の忍容性は高く、さらなる増量による効果は期待できると考える。【結論】Selexipagは小児PHの治療強化として有効例はあるが、小児の至適投与量は不明である。今後、血中濃度を測定し、至適投与量を推定する為にさらなるデータの蓄積が必要と考える。