[II-P05-3-08] 孤立性先天性片側肺動脈欠損に合併した肺高血圧症に対する内科的治療の検討
キーワード:先天性片肺動脈欠損, 肺高血圧, 肺血管拡張薬
【背景】先天性片側肺動脈欠損はFraentzelにより報告された有病率1人/30万人と非常に稀な片側肺動脈主枝の先天的欠損であり, 30%が他の先天性心疾患を合併しない孤立性先天性片側肺動脈欠損 (IUAPA:Isolated unilateral absence of pulmonary artery) である. 無症状の他, 胸痛, 呼吸困難, 喀血, 繰り返す肺炎で発見される症例もある. IUAPAの44%が肺高血圧症を合併し, 内科的治療が考慮されることがあるが, 確立された治療方法はない.【目的】IUAPAに伴う肺高血圧症に対する内科的治療について検討する.【対象・方法】2008~2022年で肺高血圧症に対して内科的治療介入のあった, 成人を含めた症例報告13例と自験例の計14例. 治療薬の種類と経過を後方視的に検討した.【結果】小児4例, 成人10例, 診断時年齢2か月~71歳(中央値36歳), うち有症状は13例. 肺血管拡張薬単剤治療が9例(ホスホジエステラーゼ阻害薬(PDE-I)3例, エンドセリン拮抗薬(ERA)3例, Ca拮抗薬2例, プロスタサイクリン誘導体1例), PDE-I, ERAの2剤併用が4例, 3剤併用が1例で, 観察期間は1か月~7年(平均1.8年), 全例で肺高血圧と症状は改善した. Ca拮抗薬使用の1例は症状改善するも肺動脈圧に変化がなかった. 内服薬による副作用はいずれも報告はなかった. 経皮的動脈管閉鎖術が1例あったが外科治療はなかった. 【考察】IUAPAは外科的根治が困難で, 薬物治療のみで管理される結果にあった. 肺血管拡張薬介入は目立った副作用なく肺高血圧や症状の改善を認め, 予後改善効果を示した. 肺動脈圧の評価の上で多剤併用も考慮すべきである. 【考察】IUAPAの肺高血圧に対して肺血管拡張薬は有用な治療戦略である.