[II-P05-4-05] 総肺静脈還流異常症術後肺静脈狭窄症に対するPV rehabilitation法3症例の経験
Keywords:総肺静脈還流異常症, 肺静脈狭窄症, ステント抜去
【背景】総肺静脈還流異常症(TAPVC)術後の肺静脈狭窄(PVO)は10-20%に発症し,Sutureless repair等のPVO解除術を行なっても,依然予後不良の合併症である.我々は, TAPVC術後PVOの解除後re-PVOに対して経皮的肺静脈ステント留置を施行し,ステント内狭窄進行に対して,外科的ステント抜去に続くsize-upステント再留置(PV rehabilitation method)を施行した3症例の経験を報告する.【症例】1. 2歳,10kg,女児.TAPVC(IIa)に対する修復術後1ヶ月でPVOを発症し,2回のPVO解除術を経て,肺静脈ステントを留置した.以後2年間にわたり定期的な拡張を行ったのちにステント内狭窄が進行し,ステント抜去の方針となった.2.3歳,12kg,男児.Mixed type TAPVC(Ib+IIb)の修復術後PVOのために計4回のPVO解除術を施行.1歳3ヶ月時にステント留置を施行後 2年間にわたりステント拡張を繰り返し,ステント抜去の方針となった.3.6歳,11kg,男児.TAPVC(Ia)に対してSutureles repair施行後に2回のPVO解除術を要した.以後約5年間にわたりステント留置・拡大治療を行い,ステント抜去の方針となった.【手術】肥厚増生した血管内膜に埋没したステントは,低出力の電気メスを用いて肺静脈壁を損傷することなく容易に剥離された.3症例で合計9本のステントが増生内膜ごと安全に抜去できた.3症例とも術直後には著明な肺静脈拡大が得られ,肺動脈圧は有意に低下した.症例1は抜去後4週,症例2は6週後,症例3は5および13週後にsize-upステント留置を施行し,いずれも1〜2回/年程度の追加拡大治療のみで経過良好である.【結語】TAPVC術後PVOに対して,乳児期早期は小径のステント留置および再拡大で体格が大きくなるまで待機し,幼児期に大径のステント再留置を意図して初回ステントの外科的除去を行うPV rehabilitation法はPVO根治的治療に対する一つの回答となる可能性がある.