[II-P05-4-06] 新生児期に外科的介入を行った重症Ebstein奇形の検討
Keywords:新生児Ebstein奇形, 両側肺動脈絞扼術, Starnes手術
【背景】Ebstein奇形は三尖弁の先天的な形態異常で、先天性心疾患の約0.5~1.0%に見られるが、新生児期に治療介入を要する群は予後不良のことが多く初回治療選択には議論がある。【目的】新生児重症Ebstein奇形における術式の検討。【対象】当院で1998〜2022年において新生児期に外科的治療介入を要した重症Ebstein病13例に対してカルテからの後方視的検討を行った。13例のうち初回手術としてStarnes手術を行った患者は8例で、そのうち、動脈管依存の血行動態で両側肺動脈絞扼術(BPAB)による肺血流調整を行ったのは2例(2.1kg 日齢0、2.3kg 日齢1)で、体肺血流シャント(SPS)を行ったのは6例で、手術時体重中央値は2.5kg(1.6~2.8kg)、手術時日齢中央値は3.5日(1~13日)であった。死亡はBPAB群1例、SPS群2例であった。生存症例の最小体重は2.1kgと2.7kgであった。人工心肺時間の中央値はBPAB群102.5分(96-109)、BTS群194.5分(135-361)であった。【circular shuntの1症例】胎児診断でEbstein奇形に伴うcircular shuntを指摘され、37週6日2192gで出生した児に対して出生同日に右心房・右心室縫縮、Starnes手術、ASD creation、BPAB、主肺動脈結紮術施行し、生後28日にSPS、PA debandingをnon-pumpで行うことで救命し得た症例を経験した。【考察と結論】新生児重症Ebstein奇形の初回手術介入として、出生後早期に一期的にStarnes手術、両側肺動脈絞扼術を行うことは低体重で出生することの多い本疾患群において、早期から心拍出効率を改善しつつ、肺血流調整をもとに救命率に寄与する可能性がある。