[II-P05-5-03] 左心低形成症候群により予後不良となった親への意思決定アプローチ
キーワード:意思決定支援, 予後不良, アプローチ
背景近年、小児領域における在宅医療の進歩により、重症心不全患者でも自宅退院・在宅医療の提供が可能となってきている。今回、左心低形成症候群・ノルウッド手術後に2度の心停止から低酸素性虚血性脳症、虚血性心筋症となり、予後不良と診断された児に親が自宅での看取りを決めるまでの心境の変化と、親への意思決定を支援した取り組みを振り返り検証した。目的予後不良の児を持つ親に対して行った意思決定支援が、心境と行動にどのように影響をもたらしたのか検証する。結果在宅移行を目的に転院してきた児は、心不全の悪化から自宅退院が延期となり、母は不安を抱えていた。予後不良である事の説明を繰り返し行うが、母自身の感情表出が少なく、理解できているのか判断できない状況であった。しかし、日々対話を重ねる事によって、母は徐々に思いを表出できるように変化していった。最善な最期の迎え方について、母は気持ちを言い表せない中、私自身の考えを伝えると、母は家族と一緒に家で看取りたいと気持ちを話し、涙した。母の気持ちを知り、代弁者として多職種に母の思いを伝え、自宅退院に向けて様々な調整を行った。一方、父は、面会や病状説明を受ける機会も少なく、治療継続を希望していた。両親の意思統一が図れないまま1週間が過ぎ、児の容体が急変した。駆けつけた両親に、時間の猶予がない事、治療継続か自宅退院かの意思確認をした際、父は自宅での看取りを希望した。児は自宅退院となり、家族の時間を過ごし、5日後に亡くなった。結論・信頼関係のもとで、最善の選択について共に悩み支援した事が、母の気持ちの表出や意思決定につながったと考える。・父に対する医療者からのアプローチ不足が考えられる。父への支援をより充実し、両親の意思統一が図れるように、チームアプローチが重要である。