[II-P05-5-04] コロナ禍で海外渡航移植を目指す患児・家族への支援~多職種で支援することの重要性~
キーワード:コロナ禍, 海外渡航移植, 多職種連携
【背景】わが国では、2010年の法改正後、15歳未満の臓器提供が可能となり、海外渡航移植は減少した。しかし、待機期間は平均668日と長期である。コロナ禍で臓器提供が減少している現状もあり、海外渡航を検討する家族は少なくない。【症例】10歳男児。重症大動脈弁狭窄のため、生後1日目にバルーン大動脈形成術施行し、5歳時にKonno術施行。術後心不全が持続して入退院を繰り返し、8歳時に拘束型心筋症と診断。その後長期入院を余儀なくされたが、児は「心臓が疲れているから入院している」と理解していた。心不全の悪化を繰り返し、集中治療が必要になったことを機に、両親が海外渡航を決断。【看護の実際】両親が渡航の意思決定後すぐに、多職種カンファレンスを開催した。安静を含めた治療を受け入れてもらうため、児には病気と渡航の必要性を理解してもらう必要があった。心理からは病状説明と児の理解を促すための段階的関わりについて意見をもらい、多職種で役割を決めて介入した。安全に渡航できるよう、臨床工学技士とも連携し、機器の準備を依頼した。また、渡航の搬送は、急変に備えて普段面識のないPICUの医師や看護師が担当するため、事前に関わる時間を作り、児と家族が安心して渡航できるよう配慮した。渡航に関する事務手続きは、外部業者に委託したため、適宜情報共有を行い、院内での準備と並行して行った。コロナ禍で面会制限がある中、半年に1回は兄弟や祖母と面会できる機会を作った。同行するスタッフのワクチン接種や陰性証明書の発行といった手続きも必要となった。【考察】病状的にも限られた時間の中で、児の理解を得ることができたのは、児の理解度に合わせて段階的に関わることができたからだと考える。早期に多職種カンファレンスを行うことで、児や家族への支援体制を確立することができた。世界的流行感染症により通常より渡航準備は難航したが、計画通り患者の搬送を行うことができた。