The 59th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

ポスター発表

End of life care・移行期支援

ポスター発表(II-P05-5)
End of life care・移行期支援

Fri. Jul 7, 2023 9:50 AM - 10:50 AM ポスター会場 (ポスター展示会場)

座長:榎本 淳子(東洋大学 文学部)

[II-P05-5-05] 先天性心疾患の青年における心理的自立の特徴:「依存」と「自律」からみた一般青年との違い

久保 瑶子 (千葉明徳短期大学 保育創造学科)

Keywords:心理的自立, 依存, 自律

【背景】先天性心疾患(以下,CHD)の青年の親への依存の高さが問題視されてきたが,保護的に養育された彼らは、親への依存が心理面にネガティブに作用しない可能性がある。CHD青年の適応や心理発達過程の解明の為に,親に依存しているCHD青年の自律の実態を確認する必要がある。【目的】依存と自律の2側面からCHD青年の心理的自立の特徴を検討する。また,依存・自律と心理適応の関連を検討する。【方法】12~29歳のCHD青年102名と一般青年293名に,依存,自律,心理適応(自尊感情,親を頼った後の感情)の質問紙への回答を求めた。CHD青年には主観的重症度も尋ねた。主観的重症度が低いCHD青年54名(制限無群)、主観的重症度が高いCHD青年41名(制限有群)、一般青年293名(統制群)の3群で比較した。【結果】依存と自律の高低で4類型に分類した心理的自立の各類型の人数比率を3群で比較した。直接確率計算の結果、有意な偏りが見られ(χ2 (6, N = 388) = 16.93, p < .05)、残差分析の結果,制限無群は「依存高自律高型」が多く,制限無群・制限有群は「依存低自律低型」が少なく,統制群は「依存低自律低型」が多かった。また,重回帰分析の結果、3群とも依存は親を頼った後の「自己成長感(β = .30~.62)」,「気持ちの安定(β = .65~.69)」,自律は「自尊感情(β = .61~.70)」,親を頼った後の「自己成長感(β = .27~.72)」,「気持ちの安定(β = .24~.48)」,「成長阻害感(β = −.40 ~ −.58)」と有意に関連した(p < .001~.05)。【考察】CHD青年は、一般青年と同程度自律していた。特に主観的重症度が低いCHD青年は親に依存しながら自律する者が多い。今後は、依存の有無だけでなく自律も考慮した自立支援が重要である。【結論】少なくとも青年期時点では,CHD青年の親への依存は適応的に機能している。この知見は,医療者が捉えるCHD青年像とCHD青年の心理面の間のギャップ低減に寄与する。