[II-P05-5-06] 当院の移行期・ACHDセンターにおけるプレコンセプションケアの現状報告
キーワード:成人先天性心疾患, プレコンセプションケア, 成人移行支援
【背景】医療の発達により、心疾患を有する妊娠可能な女性の数は増加しており、それぞれの心疾患に合わせた妊娠・出産のプログラムが必要であると言われている。【目的】当院の移行期・ACHDセンターでのプレコンセプションケア(以下:PCC)の現状を報告する。【方法】2022年5月〜2023年1月。当院で実施されたPCCの症例を後方視的に検討した。【結果】当院のACHD患者を診察する医師は男性のみであり、月に1〜2回、看護師・助産師によって55名の患者にPCCを実施した。平均年齢は22.6歳、男性3名、女性52名、複数回面談をしている患者は8名であった。(症例A)32歳未婚女性。幼少期に機械弁にしており、PCCを受ける機会はなかったが、セミナーで自身が妊娠困難であることを知り衝撃を受けた。必要な治療ではないが、弁置換により妊娠可能となる説明をされている。リスクを鑑み挙児希望はないが、代理出産や特別養子縁組制度について自身で調べている。パートナーとの関係、妊娠困難について伝える時期などについて面談を行なっている。(症例B)31歳未婚女性。今後弁置換が必要。PCC歴なし。パートナーはおらず、漠然と挙児希望はあるが、弁逆流からくる現在の状態から出産や育児は不可能であると感じている。しかし、今後の妊娠の可能性の温存のため生体弁置換を希望しており、定期的な面談を行なっている。【考察】PCC、性に関する面談は初対面で踏み込むには医療者、患者双方に困難感があり、信頼関係の構築が必須である。また、疾患名による決められたPCCのみではなく、治療歴や家族歴、年齢や、パートナーの有無、価値観など、患者の背景に合わせたオリジナルなPCCが必要である。そのためには、小児期からの成人移行支援の中で、医療者との信頼関係を築き、必要な時期に段階的にPCCが行える環境を作っていく必要がある。