[II-P05-5-07] 小児病棟における移行期支援の取り組み-心臓カテーテル検査入院の機会を利用して-
Keywords:先天性心疾患, 移行期支援, 入院
【背景】2020年度から小児病棟看護師および小児看護専門看護師を中心に移行期支援システムに向けた検討を始め、2021年度より小児病棟において先天性心疾患をもつ子どもへの介入を開始した。【目的】A病院小児病棟に心臓カテーテル検査目的で入院した10歳以上の患者に対する移行期支援の取り組みを振り返り、支援の効果や今後の課題を検討した。本研究はA病院臨床研究審査委員会の承認を得た。【活動内容】1)「移行期支援とは何か?」について看護職を対象に勉強会を行った。2)小児病棟で可能な移行期支援の対象、方法について検討した。3)対象となる患者の入院時に、患者と家族それぞれに自作の情報収集用紙を配布し、当日中に記入を依頼して回収した。4)主治医による検査の面談前に看護師と主治医で情報共有した。5)面談に同席した看護師は、情報収集用紙に記載してある内容に基づいて医師の説明を補足したり、患者の思いを代弁するなど、患者自身の病気の理解やセルフケア能力が深まるように関わった。6)面談後は患者と家族の理解度や思いを確認した。7)入院中は病棟薬剤師も介入し、内服薬の作用や注意点を紙面で説明した。面談後の患者からの言葉としては、「ここが人工血管って先生が言ってた、大体分かった」「薬剤師さんが薬のこと教えてくれたから、先生の話がよく分かった」などがあった。【考察】短期入院ではあるが、検査入院という病棟で関われる機会を利用したことで、子どもが自らの疾病を自覚することにつながり、病気や治療、薬について知ろうとする意欲が芽生え、セルフケアへの主体性が得られるきっかけとなった。今後の課題は、検査入院中に得られた情報や関わりから移行に向けた支援を進めること、病棟における支援を外来での関わりに活かすこと、成人科で患者に関わる多職種と共にライフステージを通した支援が提供できる体制構築をすることである。