[II-P06-2-01] 当院で大動脈弁上狭窄に対して手術を行なった症例の検討
Keywords:大動脈弁上狭窄, Brom法, Williams症候群
【目的】当院での大動脈弁上狭窄(SVAS)に対する手術症例につき検討した。【対象】2006年以降SVASに対し手術を施行された17例を対象とした。Williams症候群を8例に合併し、SVAS形態はdiffuse type 10例、discrete type 7例であった。冠動脈病変を13例に合併し(LCA 13, RCA 1)、有意狭窄6例、入口部ridge形成7例。肺動脈狭窄は10例に合併し、両側肺動脈狭窄8例(肺門レベル2例、区域枝レベル1例)。術前心臓カテーテル中の心肺蘇生を2例に要し、1例はECPRからの手術を要した。【手術】手術時年齢11ヶ月(38日-9歳)、体重7.9kg(4-29.9kg)。diffuse typeの9例にBrom法(大動脈弓拡大2例)、1例にSeo変法を施行。discrete typeの4例にMyers法、2例に1-patch法、1例に2-patch法を施行。冠動脈に対しパッチ形成4例、ridge切除6例。肺動脈形成を9例に施行し、両側6例中1例は区域枝レベルでの形成を要した。【結果】4例に術後ECMO補助を要し、周術期死亡は1例(Myers法+両側肺動脈形成、心機能低下ありBrom法に変更)。遠隔死亡は術前ECPRの1例(術後ECMO、18ヶ月後に腸炎から循環破綻)。区域枝におよぶ広範囲肺動脈形成+Brom法(大動脈弓形成+冠動脈形成)の1例でECMO離脱困難に対し、BAP+ASD作成を行い離脱。遠隔期再手術を3例に要し、1例は大動脈弓狭窄、冠動脈狭窄の進行に対し大動脈弓形成+冠動脈形成。1例はvalvular ASの進行に対しRoss-Konno。1例は大動脈弓狭窄、末梢肺動脈狭窄に対する大動脈弓形成+末梢肺動脈形成。これら死亡、再介入例は全て1歳未満での手術症例であった。【考察・結語】乳児期に介入を要するSVAS症例は多病変を有する重症例が多く、術後に未介入部の狭窄病変の進行も問題となる。現在では腕頭動脈送血でのBrom法を基本とし、積極的な冠動脈および大動脈弓形成を行う方針としているが、長時間の人工心肺を要する広範囲末梢肺動脈狭窄を合併する最重症例は未だに課題である。