[II-P06-3-05] 非造影MRAを用いた川崎病患者の冠動脈遠隔期評価
Keywords:川崎病, 冠動脈瘤, MRI
【背景】川崎病は全身性の血管炎症候群であり、冠動脈病変(CAL)を合併する可能性がある。 CALは、血栓症、進行性狭窄の原因となるため、長期のフォローアップが必要となる。 非造影磁気共鳴血管撮影(NC-MRA) は、川崎病患者の冠動脈評価が可能なモダリティであるが、その長期的な追跡調査は明らかにされていない。 本研究は、NC-MRAを用いた川崎病患者の冠動脈遠隔期評価の可能性を調査した。【方法】使用機器はPhilips社製1.5 tesla MRI 装置(Intera Achieva、Ingenia)。対象は 2005年10 月~2023年1 月に当院で非造影冠動脈 MRA を施行した 123 例の川崎病患者の内、発症から 5 年以上が経過し、期間中に2回以上の非造影冠動脈MRAを施行した39例 (75病変)。急性期の冠動脈の血管径に応じて3群に分類した。Large(L群)(n=19): Z score≧10.0または直径≧8mm、Medium(M群)(n=42):5.0≦ Z score<10.0かつ直径<8mm、Small(S群)(n=14):Z score <5.0。25%以上の狭窄病変を狭窄と定義し、1名の小児循環器科専門医と1 名の放射線科医が視覚的に評価を行った。狭窄病変は冠動脈造影 (CAG) または コンピュータ断層血管造影 (CTA)と対比した。 Kaplan-Meier 曲線から、発症後 10、15、20 年での狭窄病変の発生率を求めた。p<0.05を有意水準とした。【結果】冠動脈狭窄は 14例 (17 病変) で観察され、追加検査が行われなかった1病変を除いた16病変全てCAGまたはCTAと一致した。 L群の狭窄発生率は 10 年 27.0%、15 年 48.4%、20 年 64.6%、M群では、10 年 7.6%、15 年 11.8%、20 年 31.3% であり、S群では狭窄病変を認めなかった [ L群とS群で有意差を認めた(p=0.021)]。【結論】NC-MRAを用いた川崎病患者の冠動脈狭窄の評価は、CAGおよびCTAの評価とほぼ一致し、発症20 年後の狭窄発生率もCAG、超音波を用いた先行研究と同様であり、遠隔期評価が可能であることが示唆された。