The 59th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスター発表

川崎病

ポスター発表(II-P06-3)
川崎病1

Fri. Jul 7, 2023 10:50 AM - 11:50 AM ポスター会場 (ポスター展示会場)

座長:津田 悦子(国立循環器病研究センター小児循環器内科)

[II-P06-3-08] 川崎病血管炎モデルマウスにおけるスタチンによる血管内皮細胞機能改善効果

泉二 佑輔1, 松井 亮介2, 橋本 佳亮2, 渡邉 誠2, 深澤 隆治2,3 (1.日本医科大学 付属病院 心臓血管外科, 2.日本医科大学 付属病院 小児科, 3.福寿会病院 小児科)

Keywords:川崎病, 血管内皮細胞, スタチン

【背景】川崎病(KD)血管炎が血管の細胞老化を促進し、若年成人期の粥状動脈硬化症の発症リスクを高める可能性がある。我々はこれまでCandida albicans水溶性画分(CAWS)を使用したKD様血管炎モデルを作成し、炎症による動脈硬化促進とHMG-CoA阻害剤(statin)による脂質低下作用とは独立した抗炎症・抗粥状動脈硬化作用を報告した。【目的】KD様血管炎及びstatinが血管内皮機能に与える影響を明らかにする。【方法】CAWSを投与しApoE-/- miceにKD様血管炎を惹起した。①Control群,②CAWS群,③CAWS+statin群に分け、10週後に検体採取した。上行大動脈内膜を12分割、endothelial nitric oxide synthase (eNOS)の免疫染色強度を0-3点(計36)で半定量評価した。大動脈全体から蛋白を抽出し、eNOS, pAkt/Akt, pRb(Ser780), γH2AX(Ser139)の発現をWestern Blotにて定量評価した。【結果】eNOSは、①>③>②の順に強く免疫染色された(①23±2.0vs②3.9±4.6(p=0.01), ②vs③15±2.0(p=0.01))。Western blotでは、eNOSは①で最も強く発現、eNOSを促進するAkt活性は③で最も増強していた。またCAWS血管炎は、pRb(Ser780), pγH2AXの発現を強く誘導していた。【考察】CAWS血管炎は血管の細胞老化を促進し血管内皮細胞におけるeNOS発現を抑制することで内皮細胞機能を抑制、またstatinはAktを介してeNOS発現を誘導することで血管内皮細胞の恒常性を維持している可能性が考えられた。【結論】StatinはKD様血管炎が障害した血管内皮細胞機能を改善することで、抗炎症・抗粥状動脈硬化作用を発揮することが示唆された。