[II-P06-3-09] ホルター心電図を用いた川崎病急性期および遠隔期の再分極指標の変化
Keywords:再分極, 川崎病, 心電図
【背景】川崎病は小児期に全身の中小動脈炎を引き起こし、特に心臓においては冠動脈から心膜、心筋にまで炎症が波及し、約6-8%に冠動脈病変(CAA)を合併する。我々は川崎病急性期において12誘導心電図上のT波の頂点からT波の終焉(Tpe)時間とQT時間の比(Tpe/QT)が健常者と比較して有意に増大し、増大の程度とCAA形成に関連があることを報告してきた。しかし、これらは12誘導心電図における連続120心拍の解析であるという制約があった。そこで、ホルター心電図を用いた全心拍解析を試み、川崎病治療前後のTpe/QT、補正QT(QTc)、補正Tpe(Tpec)の変化を評価した。【対象】川崎病主要症状を5つ以上満たす川崎病群(K群)22名、治療前をPreK群、治療後遠隔期をPostK群とした。また、治療経過にて治療反応群、IVIG不応群(2回のIVIG治療あるいはRAISE治療)、それ以上の加療を要した治療抵抗群に分類した。川崎病を除く熱性疾患群(F群)6名および健常群(C群) 12名の2群を対照群とした。【方法】ホルター心電計RAC-2512にて24時間心電図を記録した。長時間心電図解析ソフトを用いTpe/QT、Tpec、QTcを測定し、心拍数(HR)との関係について混合効果モデルを用いて比較検討した。【結果】すべての群においてTpe/QTはHRに対し緩やかな正の相関を示した。PreK群はC群に比較しTpe/QTが有意に増大していた。また、PreK群はC群・F群に比較しQTcが有意に短縮していた。TpecはC群に比較しpreK群・F群において延長傾向にあり、IVIG不応群はより延長傾向となった。PostK群のTpe/QT、QTc、Tpecの各指標はC群と有意な差を認めず、治療反応性とも相関しなかった。【結語】治療前川崎病においては健常児に比較しHRに対するTpe/QTが延長傾向であり、特にQTcの短縮が著名であった。遠隔期には正常化したことから、QTc、Tpe/QTの変化は川崎病急性期における一過性の変化であることが推測される。CAAとの関連も含め、今後の症例の蓄積が望まれる。