[II-P06-4-02] 術後に心室仮性瘤を形成し、感染性心内膜炎のため死亡した両大血管右室起始症の成人例
Keywords:感染性心内膜炎, 心室仮性瘤, 脳梗塞
(症例) 29歳男性(病名) 両大血管右室起始症 (false Taussig Bing anomaly), 大動脈縮窄(経過) 生後1ヶ月でジャテン手術実施. 術後, 大動脈弁逆流と末梢性肺動脈狭窄が残存していた. 12歳時に左室流出路に心室仮性瘤を認めた. 大動脈弁逆流が増悪傾向のため大動脈弁置換手術待機中であったが, COVID-19流行のため延期となっていた. 入院2日前から目眩あり. 翌日夜から38℃台の発熱出現. 入院当日, 開業医受診しCOVID-19疑われたが抗原陰性, しかしCRP 23 mg/dLと高いため当院紹介となった. CT, MRI, 髄液検査異常なし. WBC 12,600, Plt 6.4万, CRP 24.8 mg/dL, Presepsin 655 pg/mL, 手指にOsler結節を認めたが経胸壁エコー(TTE)では疣贅はっきりしなかった. 時間を空けて血液培養を複数回採血後に抗菌剤開始予定となった. 入院翌日早朝に失語, 右片麻痺が出現, MRIにて新規脳梗塞あり. 緊急食道エコー(TEE)を実施し大動脈弁下に18mm疣贅あり感染性心内膜炎(IE)の診断が確定し, 緊急手術適応とされたが脳梗塞急性期のため延期となる. 血液培養からMSSA検出. 準緊急手術予定の6病日 病状説明中に突然意識レベルが低下し出血性脳梗塞が判明, 再び手術延期となった. 14病日 mitral-aortic intervalvular fibrosaに相当する部分にあった心室仮性瘤が破裂, 右室へ穿破し三尖弁輪から右室かけて新たな疣贅が形成されていたため緊急手術となったが, 術後多臓器不全となり48病日に死亡された. (考察) 10mmを超える疣贅は手術が必要とされているが, 疣贅の診断にTTEの感度は70%程度であり見落とされる事がある. 働き方改革が叫ばれる時代ではあるが, IEは急激に中枢神経合併を来すことがあるため手術のタイミングは時期を逸しないようにする必要がある.