[II-P06-4-06] 先天性心疾患症例における胆道閉鎖合併の術後遠隔期の検討
Keywords:先天性心疾患, 胆道閉鎖症, 単心室
【はじめに】乳児期早期の診断と手術を要する胆道閉鎖症(BA)に心奇形を合併した症例は稀で治療に難渋することが多く、その予後については明らかでない。当院でのBA61例のうち心疾患を合併した2例の経過を検討した。【症例1】12歳女児。機能的単心室症、単心房、大動脈弁下狭窄症,大動脈縮窄症、右胸心、右側大動脈弓、多脾症候群。内臓逆位のため紹介となり在胎37週6日、体重3024gで出生した。lipoPGE1管理を開始し、日齢2に両側肺動脈絞扼術を施行した。日齢10より灰白色便が出現しBAが疑われた。日齢45に術中胆道造影により同診断に至り、肝門空腸吻合術を施行した。術後の経過は良好で,5カ月時に大動脈修復術およびGlenn手術を施行し、2歳5カ月時にfenestrated TCPC手術施行した。術後Fontan循環は安定しており、術後30日に退院となった.TCPC術後10年を経過したが、Fontan循環も安定しており黄疸や肝機能障害なども認めず経過は良好である。【症例2】9歳女児。総肺静脈還流異常症(Ⅱb)、心室中隔欠損症、両側上大静脈、下大静脈欠損、奇静脈結合、多脾症候群。胎児エコーで総肺静脈還流異常を疑われ、在胎38週2日、体重2614gで出生。PVOは認めず体重増加をはかり手術介入の方針とした。また、灰白色便からBAが疑われ、日齢34に術中胆道造影により同診断に至り肝門空腸吻合術を施行した。術後に肺血流増加による心不全の管理に難渋したが、3か月時にTAPVC repair、VSD閉鎖を施行し4か月時に退院した。その後、4歳時に胆管炎を認めたが以降は問題なく経過している。【まとめ】BAに重症心疾患を合併する場合は両疾患の手術介入時期や順番を含め十分な検討が必要である。2例とも経過良好で肝移植未施行であるが、一般的にBAの多くは肝移植が必要なため、特に症例1ではFontan循環遠隔期に指摘されている肝病変やBA術後の合併症の発症に注意しながら、肝移植の適応について注意深い経過観察が必要な可能性がある。