[II-P06-4-07] 真菌性感染性心内膜炎によるバルサルバ洞破裂の1例
キーワード:バルサルバ洞破裂, 真菌性感染性心内膜炎, 心室中隔欠損症術後
症例は10歳の女児。在胎40週、2666gで出生。出生直後より心雑音を聴取し、VSD (Ⅱ)の診断で、生後1か月時にパッチ閉鎖術を施行した。術後、わずかな残存短絡を認め、フォローアップしていたが、1歳時に自己中断となった。 遷延する発熱を主訴に近医を受診し、炎症反応が高値のため、前医に紹介入院。精査するも熱源不明でCTRXを開始された。が解熱せず、炎症反応も緩徐に低下を認めるものの高値が持続し、治療効果は乏しかった。心エコーにて感染性心内膜炎を疑われ、当院に紹介となった。 来院時、バイタルはBT 36.9℃、BP 94/64mmHg、HR 93bpm、RR 20bpm。全身状態は良好。胸骨左縁第2肋間でLevineⅡ/Ⅵの拡張期雑音を聴取し、肝脾腫や下腿浮腫は認めなかった。血液検査では、CRP 1.27mg/dl、WBC 4700/μl(Net 73%)、BNP 33.9pg/ml。胸部X線では、心胸郭比 58%。心電図ではHR 79bpm・洞調律、不完全右脚ブロックを認めた。心エコーでは、バルサルバ洞右冠尖は穿孔し、16mm×23mm大の心室中隔瘤を通して右室に交通を認め、右室内に5mmの疣贅を認めた。中等度の大動脈弁逆流を認めたが左室拡大は認めず、左室駆出率 66%と保たれていた。また、三尖弁中隔尖は瘤と一体化し、重度の三尖弁逆流を認めた。感染性心内膜炎によるバルサルバ洞破裂と診断した。前医で計4回提出した血液培養はいずれも陰性で、原因菌不明のため、CTRXとSBT/ABPCを重症量で開始した。しかし、CRPは陰性化しなかった。β-D-グルカン 27.6pg/mlと軽度上昇あり、アムビゾームを開始し、手術の方針となった。手術時に提出されたVSDパッチからCandida Albicansが検出された。現在は抗真菌薬の内服を継続しながら、母親・児へ患者教育を再度行ないながら、フォローアップを継続している。