第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター発表

医療安全・ケースレポート

ポスター発表(II-P06-5)
医療安全・ケースレポート

2023年7月7日(金) 10:50 〜 11:50 ポスター会場 (ポスター展示会場)

座長:青木 雅子(東京女子医科大学 看護学部)

[II-P06-5-01] 小児ECMOカニューレの圧力損失の測定

高 寛, 堂口 琢磨, 宮本 綾子 (岡山大学病院 臨床工学センター)

キーワード:ECMO, カニューレ, 溶血

【背景および目的】小児患者に対するECMO時は、溶血症状を高頻度に合併する。高回転・低流量での遠心ポンプの使用は、高いずり応力により溶血の原因となる。カニューレは、ECMO回路構成の中で最も抵抗が大きく、それを把握することは重要である。しかし、カニューレの抵抗値は水実験で行われたカタログ値を参考にするしかなく、粘度のある血液では、それ以上の圧力損失になると予測できる。そこで我々は、小児ECMOカニューレの圧力損失を血液を模擬したグリセリン溶液で測定したので報告する。【方法】小児ECMOカニューレは、メドトロニック社製の送脱血カニューレ8、10、12、14Frを使用した。20度の水(W)と20度の33%グリセリン溶液(G)を用いてそれぞれ測定を行った。送血ポンプはメドトロニック社製のジャイロポンプを用い、圧力測定はカニューレの入口と出口で行った。流量を0ml/minから100ml/minずつ増加させ圧力損失が100mmHg以上になるまで測定を行った。流量の上限は3000mL/minとした。Gの粘度は、デジタル粘度計を用いて測定した。【結果】カニューレの圧力損失が100mmHg以上になった流量(mL/min)は、送血カニューレ8Fr(W:700、G:500)、10Fr(W:1400、G:1000)、12Fr(W:2100、G:1600)、14Fr(W:3000以上、G:2500)であった。脱血カニューレ8Fr(W:800、G:600)、10Fr(W:1400、G:1000)、12Fr(W:2100、G:1500)、14Fr(W:3000以上、G:2300)であった。【考察】小児ECMO時の溶血症状は、遠心ポンプの高回転・低流量が原因である可能性が高い。しかし、それがどの程度の時に起こるのかの予測が難しい。それを解決するためには、臨床でどの程度の時に溶血症状があるのかと、基礎研究でカニューレだけでなく、ECMO回路構成品の流量―圧力特性を研究することが重要であると考える。【結論】小児ECMOカニューレの圧力損失を血液を模擬したグリセリン溶液で測定したので報告した。