[II-P06-5-02] 小児心臓血管外科手術におけるオラネキシジン消毒薬による皮膚障害への取組み
Keywords:手術野消毒, 皮膚障害, オラネキシジン
【背景】我々は,小児心臓手術時の術野消毒薬として,耐性菌に高い抗菌作用を有し,小児に対しても皮膚障害も少ないと報告されているオラネキシジンを使用し,有用性を報告している.しかし,術後数日から1週間程度で,術野及び周囲の皮膚障害が発症する症例を6例経験した(2.4%,掻痒感を伴う,発赤,発疹等).発症年齢は平均8歳(乳幼児2例,学童児4例)で,部位は術野から離れた部位,或いは消毒野以外であった.原因として,周術期の臥床時間が長い心臓手術では,残存する消毒薬による化学的及び圧迫刺激による皮膚障害の可能性を考え,以下の予防法を徹底して実践したので報告する.【方法】①体位固定時の確実な体圧分散.②消毒薬の垂れ込みが考えられる範囲に撥水性の皮膚保護剤を使用.③背側への垂れ込み防止のため,吸水布を使用し,余分な消毒薬を吸水布に付着.④術後,ディスポの温タオルで術野周囲,背部及び臀部まで清拭.【結果】予防法を実施した2022年9月以降,オラネキシジンを36例で使用し、皮膚障害の発症は3例(8.3%)であった.すべて学童児であり,年齢は6〜13歳,体重は12.3〜40.0kg,発症部位は腰部,腹部,側胸部,大腿であった.予防法実施前を含めた発症例と非発症例の手術時体重は中央値28.2vs.6.3kg(p=0.02)と発症例で有意に大きかった.手術時間や年齢に有意差は認めなかった.【まとめ】皮膚障害の予防として,体位固定時の体圧分散,皮膚保護剤の使用,及び拭き取りは効果を認めるものの,消毒薬に接触した部位では,術後の拭き取りのみでは不十分であり,圧迫による刺激も原因となり得るため,周術期を通した継続的な看護を実践していく必要があり,特に,乳幼児よりも体格の大きな学童児は自重,胸帯及び抑制帯による胸部から背部への圧迫の影響が強いと考えられた.