第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター発表

医療安全・ケースレポート

ポスター発表(II-P06-5)
医療安全・ケースレポート

2023年7月7日(金) 10:50 〜 11:50 ポスター会場 (ポスター展示会場)

座長:青木 雅子(東京女子医科大学 看護学部)

[II-P06-5-04] 循環器内科外来におけるMS配置の効果―ヒューマンエラーの観点からー

田中 祥子1, 上田 秀明2, 柳 貞光2, 金 基成2 (1.神奈川県立こども医療センター 医療情報管理室, 2.神奈川県立こども医療センター 循環器内科)

キーワード:医師事務作業補助者, 外来診療, ダブルチェック

【背景】当院では医師が診療業務に専念するため、高度医療セクレタリー(以下、MS)を2015年に導入した。MSは特定の診療科医師に配置され、外来診療に同席し診療録の代行入力を中心とし、医師の指示のもとオーダー入力も行う。MSの配置で、医師が一人で診療を行う場合と比べ、確認作業が二重になり、小児科療養指導料の算定取り漏れ防止などの直接的な経済効果のみならず、ヒューマンエラー対策を担う可能性がある。【目的】小児科療養指導料の算定取り漏れやヒューマンエラー回避の観点から循環器内科外来でのMS配置の効果を検討。【方法】1.MS導入前後での小児科療養指導料の算定件数の推移。 2.MSの確認行動によるヒューマンエラー回避の場面の検証。【結果】1.MSが配置された循環器内科医師2名の小児科療養指導料の算定件数の合計は、MS導入前の2016年7-11月の月平均76件(月平均患者予約数510人)、導入後2017年は243件(487人)、2018年223件(478人)と増加した。2.例えば、処方の場面では、MSは処方内容が変更される度に、変更の理由など患者への説明内容を診療録に入力し、処方内容が正しく変更されているか目視で確認している。処方量が変わっていない、日数の不足など変更点に疑問がある際には、医師に声掛けしている。患者が他の薬剤の追加処方を希望している際には、診察終了時に追加処方の有無の確認を行っている。MSは処方の場面一つをとっても、複数回のダブルチェックを実施している。【考察と結論】MS配置後、小児科療養指導料の算定件数は増加し、算定取り漏れの軽減をもたらした。MSが医師の診察内容と代行入力する診療録記載内容の確認を行うことで、エラーの回避が可能となった。MS配置は、目標とされた経済的効果を促すのみならず、場面によってはダブルチェック機能を有し、診療に貢献できたと考える。