[II-P06-5-05] 小児重症心不全BiVAD装着患者の中長距離陸路病院間搬送の経験
キーワード:小児重症心不全, BiVAD, 病院間搬送
【背景】改正臓器移植法施行後、心臓移植を前提とした小児重症心不全患者の施設間搬送が増加している。この度、小児重症心不全BiVAD装着患者の中長距離陸路搬送を経験したので、その準備と搬送経過を報告する。【症例】7歳女児、4歳で大動脈弁狭窄に対するRoss手術後。6歳9ヶ月で大動脈弁逆流悪化により再大動脈弁形成術施行。冠血流障害と残存する弁機能不全による低心機能のため、遠心ポンプによるBiVAD管理となった。心機能回復が見込めないため、心臓移植を目的に当院へ転院となった。【方法】搬送決定後、搬送メンバーで、必要物品リストを作成した。現地で患者観察後、搬送に必要なケアと薬剤等の調整を現地スタッフと行い、当院の準備担当者と連携し、準備を整えた。患者に装着された機器は、遠心ポンプ2台、人工呼吸器、シリンジポンプ4台、輸液ポンプ1台であった。搬送中の全身観察と褥瘡予防ケアや処置を考慮し、小児循環器内科医師1名、小児心臓外科医師1名、臨床工学技士2名、看護師1名のスペースが確保できるドクターカー搬送となった。搬送中は約1時間毎に停車し、全身観察と除圧・吸引等を行なった。体圧分散と振動吸収を備えたベッドを作成した。【結果】搬送距離は静岡〜大阪間の330kmで所要時間は4時間57分であった。搬送に伴う全身状態悪化や脳出血、挿入ディバイス類の事故抜去、褥瘡等はなかった。【考察】長距離搬送であることから近距離と違い、合併症や緊急事態のリスクが高い。搬送ベッドは走行振動による褥瘡や脳出血を起こさず、有用であった。今回、緊急事態はなかったが、緊急時を見据えた薬剤・器材について、双方の病院と搬送チームが調整し準備を進めたこと、搬送に必要な人員確保が安全な患者搬送につながった。【結論】小児重症心不全BiVAD装着患者の搬送には施設関連携での準備と搬送チームの適切な人員確保が重要である。