[II-P06-5-07] 運動負荷試験からみたFontan術後患者と心房中隔欠損患者の病態比較
Keywords:心肺運動負荷試験, Fontan, peak O2 pulse
【目的】Fontan術後患者は肺駆動心室欠如の単心室血行動態であり、また心房中隔欠損症(ASD)患者は二室循環ながら左室前負荷増加不全のため、それぞれ運動中の体心室一回拍出量が低下する。安静時心電図所見・心肺運動負荷(CPX)時パラメータ特性の相違から各病態における運動耐容能低下の特徴を検討した。【方法】Fontan術後患者(N=52)と未修復ASD患者(N=33)の2群において、CPXより得られた最大酸素摂取量、最大酸素脈、心拍予備能と、安静時12誘導心電図のQRS幅、QTc時間、Tpeak-end時間に関して後方視的に比較検討した。【結果】検査時年齢11(9-19)歳、男45例(53%)であった。Fontan術後群はASD群と比較して最大酸素摂取量[72(59-86)% vs.96(90-111)%:P<0.001]、心拍予備能[69(57-79)bpm vs. 86(79-94)bpm:P<0.001]が有意に低下していたが、最大酸素脈は両群とも低下していた[57(37-78) vs.58(48-70)%, P=0.784]。またASD群においては最大酸素摂取量と最大酸素脈は有意な正相関(R=0.511)がみられたが、Fontan群では最大酸素摂取量と最大酸素脈は相関がなかった(R=0.279)。安静時QRS時間はFontan術後群で有意に増加していたが[Fontan:104(96-116)ms vs. ASD: 88(80-96)ms、P<0.001]、Tpeak-end時間はASD群で優位に増加していた[Fontan:88(74-107) ms vs. ASD: 110(87-118)ms、P=0.003]。QTc時間に差はなかった。Fontan術後患者ではQRS幅延長は最大酸素摂取量低下・酸素脈増加と相反する関係性にあった。【考察】Fontan術後患者およびASD患者では両群ともに運動中1回心拍出量増加不全がみられたものの、ASD患者では心拍数増加によりそれを代償し運動耐容能を維持していた。Fontan術後患者ではQRS幅増加は一回拍出量増加を示唆するものの、それは最大酸素摂取量増加に直結せず特異な血行動態特性を示した。